2024.01.26
食品ECサイトとは?市場規模・課題や成功のポイント
食品ECサイトの開設を検討している方の中には「立ち上げの手順がわからない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。ほかにも、食品ECサイトの市場規模や将来性について知りたい方もいるかもしれません。
本記事では、食品ECサイトについて解説します。
また、市場規模・課題や成功のポイントについても触れていきます。本記事を読むことで、食品ECサイトについて理解を深められるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- 食品ECサイトの課題・メリット
- 食品ECの成功事例
- 食品ECを成功させるためのポイント
目次
食品ECとは?
食品ECとは、食品をメインに取り扱っているECサイトのことです。食品ECには、以下のように3つの形態が存在します。
食品ECのタイプ | 特徴 |
---|---|
一般的な食品EC | 生鮮食品・加工品・飲料水・酒類を販売 |
ネットスーパーEC | スーパーが運営しているECサイト |
定期販売EC (サブスクリプション型食品EC) |
定期的に食品を配送するサービス |
一般的な食品ECとは、野菜のような生鮮食品や飲料水などさまざまな食品を販売しているECサイトのことです。メーカーがAmazonや楽天市場に出店するケースや、ユーザーに直接販売するDtoCのケースもあります。
ネットスーパーECとは、実店舗を持つスーパーが運営しているECサイトです。実店舗から商品をピッキングし、自宅まで配送してくれます。
定期販売ECは「サブスクリプション型食品EC」とも呼ばれ、定期的に食品を配送してくれるサービスです。定額支払えば毎月配送してくれるため、リピート購入に繋がりやすいです。
食品ECの市場規模
経済産業省が2023年8月に公開したデータによると、BtoCにおける食品・飲料酒類業界の市場規模は2兆7,505億円だと発表されています。
出典:令和4年度 電子商取引に関する市場調査 報告書|経済産業省
また市場規模の推移を見てみると、前年よりも9.15%増加しています。これはコロナ禍になったことが関係していて、「在庫切れを気にしなくていい」「遠方からでも取り寄せができる」といったメリットから食品ECの市場規模が拡大していると考えられます。
また、市場規模拡大にはネットスーパーが大きく寄与しており、サブスクリプション型の宅配サービスのニーズも拡大しています。現状では食品ECのEC化率は4.16%とまだまだ低いですが、将来的には、市場規模もEC化率も伸びていくでしょう。
食品ECサイトの課題
日本では食品をまとめ買いするのではなく、購入したその日か数日以内に消費する食品を購入する文化があります。そのため、そもそも顧客単価アップを狙うECサイトの基本構造と相性が悪いです。
こうした観点から、食品ECサイトには課題があると考えられます。
以下では、それぞれの課題について解説します。
生鮮食品とECの相性が悪い
生鮮食品とECサイトは、以下のような観点から相性が悪いと言えます。
- 消費者が鮮度や生産地、サイズなどの特徴を確認しづらい
- 手にとって直接選べない
- 冷蔵・冷凍に合わせた温度帯の設定・配送のスピード感が必要
同じ野菜でも、実店舗ならよりおいしそうなものを選べますが、ECではランダムに配送されます。実際に下記の調査では、「通信販売で食品・生鮮品を購入しない理由」の1位に「自分の目で見て商品を選べない」という理由がランクインしています。
出典:通信販売での食品購入実態|スーパーマーケット統計調査DATA
スーパーやコンビニと比較した際の利便性
利便性と即時性の点では、ECよりも実店舗の方が優れている場合があります。
たとえば、スーパーやコンビニは店舗数が多く、生活圏に複数存在する場合がほとんどです。すぐ行ける場所にあるため、欲しい時に欲しいものが手に入ります。また、実店舗では実際に商品を手にとって比較できることも魅力です。
こうした特徴から、食品をわざわざECで購入する必要がないと考える人もいます。
配送料や在庫管理のコストが利益に見合わない
食品は、ほかの商材に比べて在庫管理や受発注管理の手間やコストがかかることも欠点です。たとえば、天候不良や自然災害が発生すると予定通り入荷できないことがあります。
また食品をユーザーに配送するには、温度帯や時間帯などを指定する必要があります。そのため雑貨や日用品に比べて配送コストがかかりますが、商品の単価は安く顧客単価も低くなりがちです。
食品ECサイトを展開するメリット
食品ECサイトを展開するメリットは、大きく分けて3つあります。
ここからは、それぞれのメリットについて解説します。
販路を拡大できる
食品ECサイトのメリットは、全国規模で商圏や販路を拡大できることです。
実店舗での販売のみでは、移動の時間やコストがかかることから、遠方から客を呼び込むことは難しいです。一方で、食品ECサイトなら注文した商品を自宅まで運んでくれます。
こうした特徴から、飲料水やお米など、持ち運びが難しい商品も購入しやすいです。
24時間365日いつでも注文受付可能
食品ECサイトなら24時間365日注文を受け付けられるため、機会損失を減らせます。
実店舗では開店・閉店時間に合わせて行かなければなりません。ライフスタイルによっては間に合わず、買い物できない人もいるでしょう。しかし食品ECなら自分のタイミングで買い物ができるため、実店舗での買い物が難しい人にとっては重宝します。
ニッチな商品も取り扱える
食品ECは陳列棚に制限がないことから、ニッチな商品も取り扱いやすいです。実店舗の場合、ニッチな商品を扱うと余計な場所を取られてしまうため、向いていません。
しかし、ECサイトでは物理的な制限がなく、ニッチな商品を扱うことで一定のユーザーを取り入れることができます。ほかのECサイトが扱っていなければ、リピーター獲得につながるでしょう。
食品ECの成功事例
食品ECの成功事例として、以下3つの事例があります。
ここからは、それぞれの成功事例について解説します。
Amazonフレッシュ
引用元:Amazonフレッシュ
公式サイト | https://www.amazon.co.jp/fmc/m/20200029 |
---|---|
強み・メリット | 注文から最短2時間で配送 |
Amazonフレッシュは、大手ECモールのAmazonが運営している食品ECサイトです。対応エリアは一部ですが、注文から最短2時間で配送してくれるという強みを持っています。配送の時間は8時から24時まで幅広く指定できることも魅力です。
楽天西友ネットスーパー
引用元:楽天西友ネットスーパー
公式サイト | https://sm.rakuten.co.jp/ |
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強み・メリット | Amazonフレッシュより配送エリアが広い |
楽天西友ネットスーパーは、西友と楽天が合同で運営している食品ECです。取り扱っている商品数は多くないものの、Amazonフレッシュより配送エリアが広いことが強みです。また、楽天ポイントが貯まることから、楽天ユーザーを取り囲むことができています。
オイシックス・ラ・大地
引用元:Oisix
公式サイト | https://www.oisix.com/OtameshiTouroku.lp.g6–top–top-shinki_domo_a__html.htm |
---|---|
強み・メリット | 配送日時の指定が可能 |
オイシックス・ラ・大地は、有機野菜や無農薬野菜を販売している食品ECです。配送日時を指定することができたり、説明書においしい食べ方が書かれていたります。また、定期購入セットもあるため、リピーター獲得につなげられます。
食品ECを成功させるためのポイント
食品ECを成功させるためには、以下6つのポイントを取り入れましょう。
ここからは、それぞれのポイントについて解説します。
サイトのUI・UX改善
ユーザーにとって使いやすいサイトにするためには、サイトのUI・UX改善を行う必要があります。ECサイトでは、以下のように改善できます。
- 決済画面の入力項目を最小化する
- 絞り込み機能を充実させる
- 外部アカウントで会員登録できるようにする
また、顧客満足度を向上させるためには、顧客対応の品質も向上させると良いでしょう。問い合わせに対してすぐに回答してくれれば、口コミが広がり印象も良くなります。
また、配送方法や送料の設定に関する工夫も必要です。たとえば、オプションでお急ぎ便を利用できたり、一定額以上で送料無料にしたりすることができます。
リピート率を高める
リピート率を高めることにより、ECサイトの売上アップにつながります。具体的には、以下のような施策が効果的です。
- 定期購入・サブスクリプション
- お試しセット
- ポイント・クーポン施策
- 送料無料キャンペーンやセール
EC独自の販売施策を行うことで、実店舗にはないメリットを打ち出せるためリピート率を高められるでしょう。
また、サイトの信頼性を高めることもリピート率を高めることにつながります。
SNSマーケティングの実施
食品ECを成功させるためのポイントとして、SNSマーケティングによる集客チャネルの拡大があります。今ではSNSを利用するユーザーが増えてきました。SNSを用いることで、ECサイトの存在を知らないユーザーにもアプローチできます。
ECサイトでは、以下のようにSNSを活用できます。
- SNSで写真や動画を投稿する
- SNS広告を出稿する
- SNSで問い合わせに対応する
SNSならユーザー個人とつなげられるため、ニーズも把握しやすいでしょう。
物流体制の整備と効率化
食品ECでは物流体制の整備がポイントとなります。その理由は、食品ECには以下のような取り組みが必要だからです。
- 時期や時間帯の細かな指定
- 冷蔵・冷凍などの温度帯管理
物流管理システムを取り入れれば、リソース不足などを解決し効率的に管理できるようになるでしょう。
もし自社で商品の保管や配送が難しい場合はアウトソーシングを検討することも一つの手段です。
独自性のある商品を取り扱う
食品ECでは、特産品や地元限定品などその場に行かなければ手に入れられないような独自性のある商品を扱うことも、成功のためのポイントです。具体的には、以下のような商品を取り扱いましょう。
- 現地でなければ買いづらい商品
- 季節限定商品
- 無添加・無農薬の安全性にこだわった商品
- 手軽に料理を作れるセット販売
- ECサイト限定のオリジナル商品
- お歳暮・お中元などの贈り物用の商品
商品情報を充実させる
サイトに訪問してくれたユーザーに対し、価値のある情報を提供することが大切です。たとえば、ECサイトでは以下のような商品情報を掲載できます。
- アレルギー情報・原材料などの基本情報
- 生産者情報
- 商品のこだわり
- おすすめの調理方法
- 複数の商品画像
テキストだけでは伝わりにくい情報は、複数の商品画像を掲載することでサイズ感や質感がイメージしやすくなります。
食品ECを構築する際の注意点
食品ECを構築する際は、以下のポイントに注意しましょう。
ここからは、それぞれの注意点について解説します。
HACCP(ハサップ)に基づいた衛生管理
食品事業者は、HACCP(ハサップ)という衛生基準に基づいた衛生管理が義務付けられています。HACCPによると、以下の4つの衛生管理項目を実施しなければなりません。
- 製造や調理、運搬、販売までの各工程で衛生管理計画を作成と従業員への周知
- 清掃・洗浄・消毒や食品の取扱いなどの具体的な方法を定めた手順書の作成
- 衛生管理の実施状況を記録と保存
- 上記の定期的な効果検証と見直し
これらの項目は、食中毒を含む健康被害を防ぐために必ず守る必要があります。そのためには、適切な湿度・温度管理ができる保管場所と配送ルートを確保することが重要です。
食品表示法に基づく義務表示事項の表示
食品ECサイトには、食品表示法で表示が義務付けられている「義務表示事項」があります。具体的な内容は、以下の通りです。
- 期限情報
- 食物アレルギー情報
- 原材料関連情報
- 産地情報(原産地、原産国名、原料原産地名など)
- 保存方法
- 栄養成分表示
- その他の情報
- ECサイトの全体デザイン・共通する考え方
これらの内容はインターネット上で確認できるようにしなければなりません。また、誤解を招かないような表示が必要です。消費者庁がガイドラインを掲示しているので、必ず確認しておきましょう。
食品販売に必要な資格や許可の取得
食品ECを開業する場合は、「食品衛生責任者」という資格と「食品衛生法に基づく営業許可」が必要です。
食品衛生責任者の資格は、保健所で行われる講習会を受講することによって得られます。ただし、栄養士・調理師などの資格を持っていれば受講の必要はありません。
食品衛生法に基づく営業許可は、保健所へ事前相談したうえで申請書類を提出することで得られます。
保健所への相談と許可
食品ECの開業の際には、保健所による営業許可や検査が必要です。実際に必要な手順は以下の通りです。
- 営業施設の図面を準備する
- 保健所に相談する
- 申請書類によって営業許可を申請する
- 保健所の担当者と施設の確認検査の日程を調整する
- 施設の検査を行う
- 営業許可書の交付を受ける
- ECサイトを開設して営業開始
ただし、地域によって必要な申請が異なるケースもあるため、必ず管轄の保健所に確認しておきましょう。
ECサイトについて不安がある方はぜひご相談ください
食品ECは24時間365日注文を受け付けていることから、売上拡大につながります。ほかにも、運びにくい商品やまとめ買いした商品などを、自宅まで配送してくれることもメリットです。これから食品ECを始める方は、ぜひこの記事で紹介したポイントを参考にしてみてください。
食品ECについてお悩みがある方は、テクノデジタルへご相談ください。弊社ではECサイトの構築や運営サポートを行っています。事業内容に合わせたソリューション提案をいたしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
投稿者
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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