2024.01.22
ECサイトのクーポンとは?メリットや目的、設計から発行方法まで完全網羅
ECサイトの運営者には「クーポンをうまく活用して購入に繋げたい」という悩みがあるのでしょうか。クーポンの効果を最大化させることで、ECモールの売り上げ拡大につなげられます。とはいえ、クーポンの発行方法や設定項目が分からない方もいるかもしれません。
本記事では、ECサイトのクーポンについて詳しく解説します。また、設計から発行方法についても触れていきます。本記事を読むことで、自社のECサイトでどのようにクーポンを取り入れればいいかが分かるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- ECサイトのクーポンのメリットや目的
- ECサイトのクーポン設計や設定すべき項目
- ECサイトでクーポンを発行する方法
目次
ECサイトのクーポンとは?
ECサイトのクーポンとは、割引や特典が受けられる券のことです。実店舗で利用できる紙のクーポンとは違い、ECサイトやメルマガ、SNSなどで配布されています。物体としてクーポンが存在するわけではないため、従来よりもより多くのユーザーに配布可能です。
ECサイトでクーポンを配布する大きな目的は、販売促進です。クーポンを受け取ることでお得に買い物ができるようになり、まとめ買いやほかの商品の購入も促せるようになります。
クーポンとポイントの違い
クーポンとポイントの違いは、ターゲットにあります。クーポンを配布する目的は販売促進にあり、新規顧客と既存顧客の両方をターゲットとしています。クーポンによって購入価格が下がることから、新規顧客にとっても買い物のハードルが下がることがメリットです。
一方で、ポイントは会員登録によって獲得できるため、クーポンと比較して既存顧客がターゲットのメインになることが特徴です。
その他にも、クーポンは有効期限が短期間であるのに対し、ポイントは長期間または無為減で利用できるという違いがあります。
ECサイトのクーポンのメリットや目的
ECサイトでクーポンを発行するメリットとして、既存顧客との関係を向上させることが挙げられます。それ以外にも、以下のような目的のためにクーポンを配布することがあります。
- 新規顧客や新規会員の獲得
- 販売促進施策に活用できる
- 在庫処分
- 競合との差別化につながる
- アップセルやクロスセルによる客単価向上
- カゴ落ち対策
ここからは、それぞれのメリットについて解説します。
新規顧客や新規会員の獲得
クーポンを発行するメリットには、新規顧客や新規会員の獲得につながることが挙げられます。クーポンによって割引や特典を受けられると、購入までのハードルが下がり結果として会員登録まで進みやすくなるからです。
新規顧客が増えることで、最大の目的であるECサイトの売り上げ拡大につなげられます。クーポンを配布する際は、有効期限を設定することがポイントです。期限内に使おうとする心理が働き、より多くのユーザーに利用してもらえます。
販売促進施策に活用できる
クーポンの導入により、新規商品の購入促進やまとめ買い、短期間の売上アップといった販促につながることもメリットの一つです。
たとえば、「○○円以上で1000円引き」のようなクーポンなら、設定金額に達するよう買い物したくなります。こうした心理が働くことにより、まとめ買いをはじめとした購入促進につながります。
ボリューム割引クーポンでは、点数ごとに割引率を上げることがコツです。これにより、客単価の向上を狙えるでしょう。
在庫処分
クーポンを活用するメリットには、在庫処分ができることもあります。
余剰在庫は在庫スペースに余計なコストがかかり、利益率の低下につながるため避けるべき事象です。そこで在庫となった商品をクーポンの対象とすることで、積極的に選んでもらえます。
なかでも、季節の移り変わりやトレンドの変化が激しいアパレル業界では有効な手法です。在庫として紹介するのではなく、「〇〇%割引」のようにお得感を提示することが大切です。
競合との差別化につながる
クーポンを活用することで、競合との差別化ができることも大きなメリットです。その理由は、クーポンの機能によって競合にはない魅力を訴求できるからです。
たとえば、競合サイトと時期をずらしてクーポンを配布したり、自社商品を対象とした限定的なクーポンを配布すれば、差別化につなげられます。ほかにも、友人を紹介して会員になったら特典がもらえるなどのクーポンも効果的です。
このように、独自のクーポンを取り入れることで、自社サイトの利用を促すことができます。
アップセルやクロスセルによる客単価向上
クーポンを活用することで、アップセルやクロスセルにつながるため客単価が向上します。
アップセルとは、検討中の商品よりも高額な商品を購入してもらう手法です。クロスセルとは、相性のいいほかの商品と合わせて購入してもらう手法です。
クーポンを配布すれば、高額な商品でも割引によってお得に購入できます。また、2つ合わせて購入すれば割引になるなどの機能があれば、まとめて購入したくなる人もいるでしょう。
アップセルやクロスセルにつなげるためのコツは、過去のデータを参考に商品を選定することです。どんな商品が合わせて購入されているのかを調査することで、訴求しやすくなるでしょう。
カゴ落ち対策
クーポンを配布することで、カゴ落ち対策にもつなげられます。カゴ落ちとは、ユーザーが商品をショッピングカートに入れたままで、決済まで進まなかった状態のことです。
カゴ落ちが多い商品に対してクーポンを配布すれば、まだ購入していなかったことを思い出してくれるでしょう。お得感もあるため、購入までのハードルが下がります。
またアプリやメールで通知を入れることにより、休眠顧客へのアプローチも可能です。
なお、カゴ落ちが発生する原因については以下の記事で詳しく解説しています。こちらも合わせてお読みください。
ECサイトのクーポン設計や設定すべき項目
ECサイトでクーポンを発行する前に、以下のようなクーポンの設計を考えておく必要があります。
- 割引対象と目的
- 割引額や割引金額
- 有効期限・使用期間
- 利用ルール
- クーポンコード
- クーポンの獲得導線
これらの項目を知っておくことで、発行までに必要な準備をスムーズに進められるでしょう。ここからは、それぞれの項目について解説します。
割引対象と目的
クーポン機能を決める際は、特定商品だけにするのか、それとも特定の条件に当てはまる顧客だけにするのかを考えます。割引対象の商品を決めることで、訴求方法や特典を決めやすくなるからです。
たとえば、誕生日や記念日クーポン、会員ランクごとの限定クーポンなど、ターゲットを限定できるクーポンが効果的です。このとき、対象外の商品も決めておくことも重要です。
クーポンの主な種類には以下のようなものがあります。
- 送料無料クーポン
- 新規会員登録クーポン
- キャッシュバッククーポン
- 記念クーポン
- 連携サービス設定クーポン
- お友達紹介クーポン
すべてのクーポンを取り入れようとするのではなく、目的や狙いに応じてクーポンを発行することが大切です。
割引額や割引金額
対象や目的を決めたら、利益率をもとに割引額・割引金額といった割引方法を考えましょう。対象商品の販売価格を念頭に置いて、〇〇円引き、あるいは〇〇%引きなどと設定します。
割引額や割引金額が高いほどユーザーにとって魅力的ですが、ECサイト運営者にとっては利益を減らしていることも忘れてはなりません。やみくもに割引するのではなく、赤字にはならないよう利益率を考えることが大切です。
ただし、在庫処分や売り切るためであれば割引率を上げてもいいでしょう。在庫余剰によるコストを考えると、プラスになる場合があります。
有効期限・使用期間
いつまで使えるのかを示す「有効期限」や、いつからいつまで利用できるのかを示す「使用期間」を決める必要があります。その理由は、有効期限・使用期間があることによって期間限定感が出て、使いたくなるからです。
期間を決めるときのポイントは、長すぎず短すぎないことです。無期限にすると「いつでもいいや」と思われ、購買意欲を刺激できません。一方で、短すぎると「今回はやめておこう」とスケジュールに組み込んでもらえないでしょう。
こうした特徴から、目的に応じて期間を設定することがポイントです。予算を決めて「先着何人まで使える」といった期間の決め方もいいでしょう。
利用ルール
クーポンを設計する際には、利用ルールを決めることも重要です。ルールを設定しておくことで、運営者にとって不利になるような使われ方ができなくなります。
利用ルールについては、下記のような条件を決めておくといいでしょう。
- 他クーポンと併用は可能か
- 何回使えるか
- 何円から使えるか
たとえば、他のクーポンと併用されると利益を確保できなくなる場合があります。発行するクーポンの使用シーンを想定し、併用しても問題ないかあらかじめ考えてみましょう。
また、「何円から使えるか」と適用開始金額を明示することで、顧客単価のアップにつながります。
クーポンコード
顧客が覚えやすくわかりやすいクーポンコードを付けることも重要です。クーポンコードとはアルファベットや数字、記号を組み合わせたコードのことで、覚えやすくすることで使用率が高まります。
クーポンコードを決める際の注意点は、ほかのクーポンコードが被らないように設定することです。意図せぬ割引が発生しないように気を付けましょう。
クーポンの獲得導線
クーポンの配布においては、獲得導線をしっかり設計することが重要です。せっかく発行しても利用されないと意味がないからです。
もし顧客がクーポンを獲得していない場合告知や認知が足りていないと考えられるでしょう。ECサイトの目立つところにバナーを設置するなどの工夫を取り入れる必要があります。
ECサイトでクーポンを発行する方法
ECサイトでクーポンを発行する方法としては、以下のように3つあります。
- ECサイトやECモールの機能を活用する
- SNSの機能を活用する
- クーポン作成アプリを利用する
ここからは、それぞれの方法について解説します。
ECサイトやECモールの機能を活用する
主要ASPカートやECモールでは、クーポンの作成機能が搭載されているため、初心者でも扱いやすいです。割引率や割引対象などの必要項目を入力するだけで、簡単にクーポンを作成できます。
たとえば、クーポン発行機能があるサービスの例は以下の通りです。
サイト名 | 設定項目 |
---|---|
makeshop | 総利用回数制限・一人あたりの利用枚数制限 対象商品の指定 金額での利用条件指定 割引方法の設定 会員・非会員での利用者制限 クーポン(割引)期間の設定 |
BASE | 有効期間を設定した「期間限定」 発行枚数を制限して「先着順」 最低購入金額を決めて「◯円から使えます」 購入回数の上限あり「1人◯個まで」 |
STORES | 割引(%)/ 値引き(円)/ 送料無料 を自由に設定ができる 発行枚数に制限がつけられる 利用回数に制限がつけられる 使用条件(◯◯円以上の購入時のみ利用可能)を設定できる 有効期限を設定できる クーポン発行のお知らせメールを自動送信できる |
SNSの機能を活用する
LINE公式アカウントやFacebookを活用してクーポンを発行することが可能です。具体的な手順としては、以下の通りです。
【LINE公式アカウント】
- LINE official Account Managerへログイン
- クーポンを作成
- 公開範囲を設定
【Facebook】
■投稿クーポン
- Facebookページにアクセス
- 「その他」のプルダウンリストから「クーポン」を選択
- クーポンの管理画面から「クーポンを作成」ボタンをクリック
- クーポンの条件を設定
- 必要に応じて「詳細オプション」内の利用規約やクーポンコードを設定
- 「クーポンを宣伝」をオン(有料で宣伝する場合)
- 「公開する」ボタンをクリック
■クーポン広告
- 広告目的を選択
- 「クーポン」から切り替えボタンをオン
- 広告を出したいFacebookページを選択し「クーポンを作成」をクリック
- 利用場所を含む各種設定
- 「作成」をクリック
- 必要事項の設定を行い「次へ」をクリック
- 広告フォーマットを選ぶ
- 画像・動画や説明文を設定する
- 「注文を確定する」をクリック
クーポン作成アプリを利用する
ASPカートやECモールを利用していない自社ECサイトは、クーポンを簡単に発行できるクーポンアプリの利用がおすすめです。クーポン作成アプリがあれば、自社での開発などが不要で、コストを抑えながらクーポン配布ができます。
代表的なクーポン発行アプリには、フリポンやクルクルManagerといったサービスがあります。
自社ECサイトとECモールの違いについては以下の記事で詳しく解説していますので、こちらも合わせてお読みください。
ECサイトのクーポンの注意点やポイント
ECサイトでクーポンを発行する際には、いくつかの注意点があります。クーポンのメリットを最大限享受できるように、以下のポイントに気をつけましょう。
- 配布回数や配布数を多くしすぎない
- 限定感や特別感のある内容にする
- 配布するタイミング
- 効果測定を行う
ここからは、それぞれの注意点について解説します。
配布回数や配布数を多くしすぎない
クーポンを導入する際は、クーポンの回数や配布数を多くしすぎないことに注意しましょう。
クーポンを配布しすぎると、「いつもクーポンを配布しているから今度でいい」といったブランドイメージが定着してしまいます。その結果、購買意欲を刺激できず、売上も伸びにくくなるでしょう。
また、同じようなクーポンばかり配布しないことも大切です。飽きられないように、クーポンの種類を増やして適度なタイミングで配布することを意識しましょう。
限定感や特別感のある内容にする
限定感や特別感のある内容にまとめることで、顧客の興味が薄れず購買意欲を刺激できることもポイントです。割引ばかりだと単調になるため、以下のような内容も取り入れてみましょう。
- 「先着◯人まで利用可能」
- 「◯日間限定」
- 「◯周年記念」
- 季節のイベントに合わせたクーポン
このような限定クーポンや、季節のイベントに合わせたクーポンにすることで、割引ではなくおまけといった付加価値をつけられます。
ほかにも、ECサイト上に表示する割引期間のタイマーを併用することで、さらに効果を得られるでしょう。
配布するタイミング
より多くのユーザーにクーポンを利用してもらうには、配布するタイミングも重要です。買い物が多くなる時期や特別なタイミングで配布することで、使ってもらいやすくなります。
たとえば、ECサイトにおいては以下のようなタイミングが効果的です。
- 土日祝日
- 季節やイベントごとのタイミング
- 新商品を追加したとき
- 5のつく日やゾロ目の日のとき
- 一時的に顧客を増やしたいとき
クーポンの効果を最大化させるためにも、配布タイミングも考えて配信しましょう。
効果測定を行う
クーポンの効果を確認するために、配布後は必ず効果測定を行う必要があります。効果測定を行えば施策に効果があったかどうか判断でき、次回の施策へとつなげられます。
クーポン配布において注目すべき指標は以下の通りです。
- 使用率
- 売上増加
- 顧客獲得コスト
- リピート率
効果測定の方法としては、A/Bテストが有効です。A/BテストとはAパターンとBパターンを用意し、効果があった方を採用する施策です。
クーポン配布におけるA/Bテストの方法としては、以下の通りです。
- 条件を1つだけ変えて2種類のクーポンを用意する
- 会員番号(奇数/偶数など)によって出し分ける
- 2種類の利用率を比較する
ECサイトのクーポンの活用事例
クーポンを上手に活用している代表的な成功事例として、ZOZOTOWNの施策が挙げられます。ZOZOTOWNがクーポン配布において取り入れている工夫は以下の通りです。
- 日替わりクーポンが一覧化されている
- カートの近くにクーポンを設置している
- クーポン適用後の価格が表示される
日替わりクーポンがばらばらに設置されているのではなく、一覧化されているため選びやすくなっています。また、クーポン適用後の価格が表示されることで、クーポンによってお得になることをアピールできます。
ECサイトについて不安がある方はぜひご相談ください
クーポンを配布することで、お得感が出るためユーザーの購買意欲を高められます。アップセルやクロスセルによる客単価向上も目指せるため、積極的に取り入れたい施策です。クーポンの発行方法はいくつかあるため、ECサイトのタイプに合わせて選んでみましょう。
もしどんなクーポンを作ればいいのか分からない場合は、ご相談ください。弊社ではASPカートから自社ECサイトの制作までサポートができます。マーケティング施策の提案もできますので、ぜひお気軽にご連絡ください。
投稿者
-
システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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