2024.01.15
ECサイトのフルスクラッチとは?メリットデメリットや向いている企業
ECサイト担当者の中には、「自社でもフルスクラッチで構築できるのだろうか」と考えている方もいるのではないでしょうか。ほかにも「フルスクラッチ」という言葉は聞いたことがあるけど、具体的な内容までは理解できていない方もいるかもしれません。
本記事では、ECサイトにおけるフルスクラッチについて解説します。また、フルスクラッチの構築方法についても触れていきます。本記事を読むことで、自社でどのようにECサイトを構築すればいいのか判断できるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- フルスクラッチとはなにか
- メリット・デメリット
- フルスクラッチの構築手順
目次
ECサイト構築の「フルスクラッチ」とは?
フルスクラッチとは、テンプレートを使わずオリジナルでECサイトを構築することを意味します。ゼロから構築することにより、自社の都合やブランドの世界観を反映できることが強みです。
フルスクラッチでECサイトを構築している企業の例として、ユニクロやZOZOTOWNがあります。両企業とも知名度が高く、手間やコストをかけられる大企業です。こうした特徴から、近年のECサイトはフルスクラッチからパッケージが主流になり始めています。
ECサイトをフルスクラッチで構築するメリット
ECサイトをフルスクラッチで構築するメリットは以下の通りです。
- ECサイトを自由に設計できる
- 拡張性が高く外部連携がしやすい
- 保守運用が行いやすい
- 改善のPDCAがしやすい
ここからは、それぞれのメリットについて解説します。
ECサイトを自由に設計できる
ほかのECサイト構築方法と比較すると、フルスクラッチは自由度が最も高いことがメリットです。ブランドイメージや取り扱う商品にあわせて、細部まで自由にカスタマイズできます。
たとえば、以下のような実装はほかの構築方法には難しいです。
- 自社ブランドを反映したデザイン
- 独自システムの導入
- カスタマーレビューを反映した機能の追加
後から機能を追加したりカスタマイズしたりできることから、大規模なECサイトに向いています。
拡張性が高く外部連携がしやすい
フルスクラッチのメリットとして、外部ツールと連携しやすいことが挙げられます。具体的に、以下のようなツールと連携可能です。
- 社内の基幹システム
- 販売管理システム
- CRM
- MAツール
CRMとは、顧客情報を管理できるツールです。一方、MAツールとはマーケティングを自動化するツールを指します。外部ツールと連携することで、ECサイトに関する業務を効率化できます。
保守運用が行いやすい
トラブルが起きた際もすぐに対応できるため、保守運用が行いやすいこともメリットとして挙げられます。たとえば、ECサイトでは以下のような保守運用が必要です。
- トラブルの原因究明
- 不具合の修正
- システム復旧
- システムアップデート
これらの作業が、自社都合のスケジュールで進められます。やり取りがスムーズになるため、迅速に進められるでしょう。
改善のPDCAがしやすい
PDCAサイクルを迅速に回せることも、フルスクラッチのメリットです。デザインやシステムの修正も自社のスケジュールで進められるのでPDCAサイクルが高速化します。
パッケージなどの製品を使用していると、デザインやシステムの改善ができないことがあります。より効果的な施策を取り入れるのには、PDCAサイクルの高速化が重要です。
ECサイトをフルスクラッチで構築するデメリット
ECサイトをフルスクラッチで構築するデメリットとして、以下の点が挙げられます。
- 構築や運用にかかる費用が高い
- 開発期間が長くなる
- 開発や保守運用の難易度が高い
- 頻繁なアップデートが必要
- システムのブラックボックス化が起こりやすい
ここからは、それぞれのデメリットについて解説します。
構築や運用にかかる費用が高い
フルスクラッチはゼロからすべて開発するため、構築に費用がかかることがデメリットです。大規模なECサイトになるほどコストが高くなります。
特にECサイトは決済システムやショッピングカートなど必要な機能が多いことから、数千万円から数億円はかかるでしょう。そのため、予算が確保できる大企業でないと実現は難しいです。
開発期間が長くなる
開発期間が長くなり、リリースまで時間がかかることもデメリットの1つです。
パッケージなどの製品を利用した場合、数カ月程度で開発できます。一方で、フルスクラッチで構築するには早くても半年、長いと数年かかります。
公開に時間がかかるとそれまでに競合が先行してスタートするリスクもあるでしょう。早く公開したい場合は、フルスクラッチは向いていないかもしれません。
開発や保守運用の難易度が高い
フルスクラッチのデメリットとして、開発や保守運用の難易度が高いことも挙げられます。ゼロから開発するので知識を持った人材が必要で、問題が起こった際にもすべて自社で対応しなければなりません。
現状こうした人材がいない場合、すぐに開発に取りかかることが難しいでしょう。また人材を確保するにも、人件費がかかります。
頻繁なアップデートが必要
頻繁なアップデートが必要になることも、フルスクラッチのデメリットです。細かな更新や機能追加なども全て行わなければなりません。
また、Webサイトのデザインや機能が古くなると使いにくくなり、ユーザーが離れる原因となります。こうした性質から、公開からしばらくたっても3〜5年程度でリニューアルが必要です。リニューアルには、大がかりなプロジェクトが発生します。
システムのブラックボックス化が起こりやすい
システムのマニュアル化やドキュメント化をしないと、ブラックボックスになり負債になってしまう可能性がある点もデメリットです。
ブラックボックス化とは、前任者の異動や離職が原因で現場の担当者がシステムを把握しきれない状態を意味します。ブラックボックス化が起こると日常の業務にも支障をきたし、効率化できません。
ECサイトをフルスクラッチで構築する手順
フルスクラッチでECサイトを構築する手順としては、大まかに以下のようになります。
- 要件定義
- システム設計
- プログラム開発
- テスト
- デプロイ
- 運用
はじめに、要件定義を行います。ECサイトの要件定義とは、簡単に言うとどんなECサイトにするのかをまとめることです。要件定義においては、以下のポイントを取り入れて整理します。
- サイトの目的・背景
- サイト要件
- システム要件
- スケジュール
- 予算
続いて要件定義をもとに、システム設計を行います。システム設計とは、ECサイトに必要な機能を仕様書や設計書に落とし込むことです。
システム設計が完了したら、プログラム開発に進みます。デザイン設計のもと構築していき、この段階でECサイトのかたちが完成します。
ECサイトがかたちになったら、リリース前にテストを行います。テストとは、正常に表示されるか、システムに問題がないかをチェックする業務です。特にECサイトの場合、注文後、正しく発注されるか確認することが重要です。
テストが終わったら、本番公開に配置します。この作業をデプロイと言います。無事デプロイが完了したら、運用開始です。
ECサイトのフルスクラッチ開発が向いている企業
ECサイトをフルスクラッチで開発するのに向いている企業の特徴は、以下の通りです。
- 開発予算や時間が潤沢な場合
- 要件に合うパッケージがなく独自に開発する必要がある場合
- 社内にスキルや知識のある人材がいる場合
- システムを内製化したい場合
- PDCAを高速で回したい場合
社内リソースを使いたい場合や、自社開発にこだわる何かしらの理由がある場合はフルスクラッチが向いているでしょう。ここからは、それぞれの特徴について解説します。
開発予算や時間が潤沢な場合
開発予算や時間が潤沢な場合は、フルスクラッチ開発がおすすめです。
フルスクラッチで構築する場合、開発予算として数千万円から数億円、開発期間には半年から数年かかります。上記の予算と時間が使える場合はフルスクラッチでも問題ないでしょう。
反対に、競合が先にECサイトを公開する可能性があるなど、緊急性が高い場合には向いていません。
要件に合うパッケージがなく独自に開発する必要がある場合
要件に合うパッケージがないなど、独自に開発する必要があるならフルスクラッチがいいでしょう。たとえば、以下のような場合はフルスクラッチ開発がおすすめです。
- 競合他社との差別化を行いたい
- 必要な機能がECパッケージに搭載されていない
- より高度な機能が必要
パッケージ製品でもある程度はカスタマイズできますが、オリジナルで開発しないと差別化できないこともあります。
社内にスキルや知識のある人材がいる場合
社内にスキルや知識のある人材がいる場合は、フルスクラッチ開発が向いています。
外部に開発を依頼すると、その分社内のリソースは確保できますが、コストがかかります。また、伝達にも時間がかかるので、リリースまでに時間がかかるでしょう。
一方で、社内で開発すれば外注費を削減できます。また伝達もスムーズなので、スピーディーにリリースできるでしょう。
システムを内製化したい場合
システムを内製化したい場合もフルスクラッチがおすすめです。内製化とは、社内でシステムを運用できるようにすることです。
外注すると社内にノウハウがなくてもECサイトを構築できますが、ノウハウが社内に蓄積しません。そのためシステムの運用や改善ができず、外注だよりになってしまいます。
そこで社内でノウハウのある人材を確保することにより、臨機応変に対応できるようになります。
PDCAを高速で回したい場合
売上向上のためのPDCAサイクルを高速で回したい場合も、フルスクラッチ開発がおすすめです。
パッケージを利用していると、システムの変更や修正に融通が利きません。また改善ができても、システム要件のすり合わせなどで時間がかかります。
一方で、フルスクラッチなら自社のペースでECサイト改善を実施できるので、マーケティング施策の効果を最大化できます。
フルスクラッチ以外のECサイト構築方法
フルスクラッチ以外にもECサイトの構築方法はいくつかあります。上記で紹介した特徴から、自社がフルスクラッチに向いていない、またはデメリットが大きいと判断した場合は、以下の構築方法も検討してみてください。
- ASP
- オープンソース
- ECパッケージ
- クラウドEC
ここからは、それぞれの構築方法について解説します。
ASP
ASPとは、ECサイトを構築するクラウドサービス事業者と契約してECサイトを構築する方法です。
用意されたクラウド上で構築でき、レンタルサーバーの契約が不要であることから、比較的初心者でも始めやすいことがメリットです。ただし、カスタマイズ性が低く、機能やデザインに制限があることがデメリットとして挙げられます。
オープンソース
オープンソースとは、外部に公開されているコードで自社ECサイトを構築する方法です。
オープンソースは無料で公開されているため、コストを抑えて構築できることがメリットです。自社にノウハウがあれば、初期費用を抑えながらリリースできます。
一方で、オープンソースであるためサポートを受けられないことがデメリットです。
ECパッケージ
ECパッケージとは、ECサイトに必要な機能がパッケージされた製品で自社ECサイトを構築する方法です。
ECパッケージのメリットは、カスタマイズ性が高いことです。そのため、コストを抑えながらオリジナリティのあるECサイトを構築できます。
デメリットとしては、システムが陳腐化することが挙げられます。ECパッケージを利用した場合、定期的な見直しが必要です。
クラウドEC
クラウドECとは、クラウドにあるプラットフォームで自社ECサイトを構築する方法です。
クラウドECではベンダー側がクラウドの保守管理を行っていることから、最新状態のシステムを保持できるというメリットがあります。万が一トラブルが発生した場合、ベンダーが修正してくれます。
その反面、自社でシステムの保守管理ができません。自由なカスタマイズができないので、システムの保守管理を外部に任せたい場合に向いています。
ECサイトについて不安がある方はぜひご相談ください
フルスクラッチで開発すれば、自社オリジナルのECサイトを構築できます。競合との差別化もできるため、ブランディングにもなるでしょう。予算やスケジュールに余裕がある場合は、ぜひ検討してみてください。
ECサイトの制作を検討している方は、テクノデジタルにご相談ください。弊社ではASPを始め、フルスクラッチなどさまざまな方法で開発ができます。リリース後のコンサルティングも可能ですので、ぜひお気軽にご連絡ください。
投稿者
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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