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個人でネットショップを開業する方法は?9つの手順と注意点

個人でネットショップを開業する方法は?9つの手順と注意点

商品の販売を始めるのに、一人で運営する方にはネットショップがおすすめです。実店舗に比べるとコストがかかりにくいことから、高い利益率を期待できます。


本記事では、個人でネットショップを開設する方法について解説します。各ステップで必要なことを詳しく解説しているので、初心者でもスムーズにお店を開くことができるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。

この記事でわかること

  • 個人でネットショップを開業する手順
  • 各手順の具体的な取り組み方
  • 失敗しないための注意点

個人でネットショップを開業するときの9つのステップ

個人でネットショップを開業するときの9つのステップ

個人でネットショップを開業するときの流れは以下のとおりです。

  1. 商品を決める
  2. コンセプトを決める
  3. 必要な届出や資格の取得をする
  4. 必要機材を用意する
  5. 仕入れルートを手配する
  6. 出店方法を決める
  7. ネットショップを制作する
  8. 配送方法を用意する
  9. 集客を実施する

上記の手順で行うことで、手戻りなく進められるでしょう。以下では、各ステップについて詳しく解説していきます。

商品を決める

はじめに、商品を自作するのか仕入れるのか決めましょう。何を売るのか決める際は、取り扱う品数やジャンルについても考える必要があります。取り扱うジャンルの例は以下の通りです。

  • 食品・スイーツ
  • ファッション
  • ファッション小物
  • 雑貨・キッチン用品
  • おもちゃ・ホビー
  • 美容・コスメ
  • インテリア・家具
  • ジュエリー・アクセサリー
  • ドリンク・お酒
  • スポーツ・アウトドア

ただし、商品によっては、法的な規制やシステムによる規制によってネットショップで販売できないものもいくつか存在します。一例としては、以下の通りです。

法律で規制されているもの 薬物・医薬品など
犯罪に使用される恐れのあるもの 銃・刀剣類など
公序良俗に反するもの アダルト商品・児童ポルノに関するものなど
悪用の危険性があるもの 免許証・パスポートなど
譲渡が禁じられているもの 銀行口座・クレジットカードなど
第三者の権利を侵害する恐れがあるもの 特許権・意匠権など
利権を侵害しているもの 模倣品・偽ブランド品など
期限切れのもの 賞味期限切れの食品・使用期限の過ぎた化粧品など
射幸心を煽るもの 賭博・富くじなど
金融商品に関連する情報商材 株式投資・FXに関する情報など

コンセプトを決める

取り扱う商品に合わせて、ショップのコンセプトを考えましょう。ネットショップではコンセプトを定めることによって、上手く販売戦略を立てられるようになります。

コンセプトは後から変更するのは難しいので、この段階でじっくり考えることが大切です。具体的には、ターゲットは誰にするか、何の目的で開業するかを決めます。その際、ユーザーに数ある競合の中から選んでもらうために工夫や強みが必要です。

コンセプトが決まったら、ショップ名も決めましょう。迷った場合は、同じジャンルを扱うECサイトを参考にするとヒントを得られます。

必要な届出や資格の取得をする

個人で事業を始めるには、開業届の提出が必要です。同時に青色申告の書類も提出すると、最大65万円の特別控除が受けられるため検討してみましょう。

ほかにも、取り扱う商品群によっては届出が必要です。その一例として、以下のようなものがあります。

対象商品群 必要な許可や資格
食品 食品衛生責任者
食品衛生法に基づく営業許可
酒類 通信販売酒類小売業免許
化粧品 化粧品製造業許可
化粧品製造販売業許可
医薬品 医薬品販売許可
特定販売許可届出
薬局開設許可
登録販売者の資格や薬剤師の資格
中古品 古物商許可
輸入品 食品等輸入届出書
管理医療機器
(コンタクトレンズなど)
管理医療機器販売業・貸与業届書

必要機材を用意する

ネットショップを運営するには、以下のような機材が必要です。

必要機材 用途
インターネット回線 ネットショップ運営のため
パソコン ネットショップ運営のため
プリンター チラシの印刷のため
カメラ 商品画像の撮影のため
照明器具 商品を魅力的に撮影するため
画像編集ソフト 商品画像を編集するため
セキュリティソフト セキュリティ対策のため
梱包資材 段ボールや緩衝材。発送のため

なお、カメラはスマートフォンで代用し、画像編集ソフトは無料のものを使用するとコストを抑えられます。やみくもに集めるのではなく、予算に合わせて集めることが大切です。

仕入れルートを手配する

商品を仕入れる場合、仕入れルートの手配が必要です。具体的には、以下のような方法があります。

仕入れルート メリット デメリット
ネットの仕入れサイト・サービス 仕入先が大幅に広がる
1点から卸せる
商品を手に取って見れらない
価格競争に陥りやすい
ドロップシッピング 在庫を持たない
在庫管理が発生しない
価格競争に陥りやすい
見本市や展示会などのイベント 商品を手に取って見られる
新たな販路開拓につなげられる
実績が少ないと商談成立しにくい
メーカーとの直接交渉 安く仕入れられる 実績がないと断られることが多い
最低注文数がある
問屋からの仕入れ その場で購入できる 中間マージンが発生する
海外からの仕入れ 競合との差別化になる
物価によっては安く仕入れられる
為替リスクがある
OEMの利用 こだわりのある商品が見つける まとまった費用が必要になる

ネットショップ初心者には、1点から卸せるネットの仕入れサイト・サービスがおすすめです。

一方で、メーカーとの直接交渉は実績がないと断られることも多く、最低注文数が設けられていることから難易度が高いです。

出店方法を決める

コンセプトや仕入れルートが決まったら、それに基づいて最適な出店方法を決める必要があります。出店方法は以下の5つです。

出店方法 おすすめの人
ECモール 簡単に出店・出品したい人
ASP 初期費用・月額費用無料で始めたい人
オープンソース ある程度ノウハウがある人
ECパッケージ 自由にカスタマイズしたい人
フルスクラッチ 完全オリジナルで制作したい人

ECモール

ECモールとは、複数のショップが出店するためのネットショップのことです。有名なECモールに、Amazonや楽天市場があります。

ECモールのメリットは、集客力が高いことです。ショップの知名度が低くても、ECモール自体に信頼があるので興味を持ってもらえます。

ただし、販売手数料が発生することがデメリットです。固定費もかかることもあり、利益率は高くならないでしょう。

ASP

ASPとは、ECサイトを構築するクラウドサービス事業者と契約して自社ECサイトを構築する方法です。有名なサービスに、ShopifyやBASE、STORESなどがあります。

ASPのメリットは、初期費用・月額費用無料のサービスも多いことです。コストを抑えながら始められるので、初心者にも向いています。

一方で、カスタマイズ性が低いことがデメリットです。ショップのオリジナリティを発揮できないので、ブランディングには向いていません。

オープンソース

オープンソースとは、外部に公開されているコードを使用して自社ECサイトを構築する方法です。

オープンソースのメリットは、低コストでネットショップを構築できることです。オープンソースは無料でカスタマイズ性の高いネットショップになります。

ただし、オープンソースで構築した後、外部からサポートを受けることが難しいです。問題が発生した場合は、自分で対応しなくてはなりません。

ECパッケージ

ECパッケージは、ECサイトに必要な機能があらかじめパッケージされたサービスで自社ECサイトを構築する方法です。

ECパッケージのメリットは、自由にカスタマイズできることです。フルスクラッチに比べると比較的安く柔軟にネットショップを構築できます。

ECパッケージのデメリットは、数年でシステムが古くなることです。そのため、その都度対応が求められます。

フルスクラッチ

フルスクラッチとは、ECサイトを一から自社で構築する方法です。

フルスクラッチのメリットは、完全オリジナルでネットショップを構築できるのでブランディングにつなげられることです。商品やショップの世界観を直感的に伝えられます。

その一方で、構築に多額のコストが発生することがデメリットです。そのため、初心者にはあまり向いていないでしょう。

ネットショップを制作する

出店方法を決めたら、ネットショップの制作に入りましょう。出店方法によっては対応の必要がない作業もありますが、主にやる作業として以下のようなことがあります。

以下では、それぞれの業務について解説します。

ドメインを取得する

ネットショップのURLになるドメインを取得します。ネットショップのドメインを取得する場合は、独自ドメインがおすすめです。

独自ドメインとは、個人で自由に決められるドメイン名のことです。ショップ名を名乗れることから、URLを覚えてもらえるメリットがあります。ただしデメリットとして、独自ドメインを利用するには月額料金がかかることがあげられます。

なお、ECモールや無料のASPだと独自ドメインが取得できません。

デザインを制作する

オリジナルのネットショップを構築する場合は、デザイン制作を行います。ショップのコンセプトや世界観をロゴやデザインに反映することで、誰に向けたネットショップなのかが分かりやすくなります。

ただし、ASPなどのサービスによっては、テンプレートを使用できます。テンプレート内でデザインが必要になるなどサービスによって異なるので、どこまでデザインが必要なのか確認しておきましょう。

商品を登録する

ネットショップの外側が完成したら、商品を登録していきます。商品ページには、商品画像や商品説明のテキスト、価格設定の作業が必要です。

実店舗とネットショップの違いは、ユーザーが商品を手に取って見られないことです。この弱点を埋めるには、商品画像をたくさん用意するといいでしょう。さまざまな角度から撮影することで、商品のイメージがしやすくなります。プロに撮影を依頼すれば、商品の魅力を引き出すような画像になります。

決済手段を用意する

商品を購入してもらうために決済手段を用意しましょう。その際、できる限り多くの決済手段を用意しておくことがポイントです。ユーザーが好みの決済手段を利用できると、購入してくれる可能性が高まります。

総務省が令和3年に出したデータによると、インターネットで購入する際の決済方法でクレジットカードが約80%を占めていることが明らかとなっています。

引用:インターネットの利用状況|総務省

そのため、最低でもクレジットカード決済は用意しておきましょう。基本的な決済手段は以下の通りです。

  • クレジットカード決済
  • コンビニ決済
  • 代金引換
  • キャリア決済
  • 銀行振込
  • 電子マネー

テスト注文をする

商品登録や決済手段の用意ができたら、開業する前にテスト注文を行いましょう。テスト注文とは、実際と同じ方法で商品を注文し、問題なく商品が届くことを確認する業務です。

テスト注文においては、以下のポイントを確認しましょう。

  • スムーズに商品を購入できるか
  • 受注、決済、配送などのデータ処理に問題はないか
  • スタッフの動きや連携が上手くできているか

「特定商取引法に基づく表記」の記載をする

ネットショップには、「特定商取引法に基づく表記」が必要です。これはユーザーの利益を守るための法律で、2022年6月1日から購入確定より前に表示することが求められています。

記載内容の例は以下の通りです。

  • 分量
  • 販売価格・対価
  • 支払の時期・方法
  • 引渡・提供時期
  • 申込の撤回、解除に関すること
  • 申込期間(期限のある場合)

特定商取引法ガイドを参考にして、記載項目を守りましょう。なお、電話番号やEメールアドレスなどの連絡先の明記も必要です。

配送方法を用意する

実店舗での販売と違い、配送の準備や配送業者の手配も必要です。代表的な配送方法としては、以下のようなものがあります。

  • 宅配便
  • 宅急便
  • ゆうパック
  • 大型商品
  • クール便など

配送方法は、取り扱う商品に合わせて最適なものを選びましょう。同時に、料金や時間帯指定などの配送オプションが利用できるかも確認が必要です。

なお、AmazonのようなECモールだと配送まで実施してくれます。

集客を実施する

ネットショップの準備が整ったら、ユーザーを呼び込むための集客を行います。具体的には、以下のような方法が効果的です。

  • SEO対策
  • SNSでの宣伝
  • Web広告など

集客が重要な理由は、ネットショップの存在を知ってもらうためです。開設してすぐに認知されるわけではないので、さまざまな手段を用いて知ってもらう必要があります。

個人でネットショップ開業するときに失敗しないための注意点

個人でネットショップ開業するときに失敗しないための注意点

ネットショップを開業する際に、失敗しないための注意点は以下のとおりです。

ここからは、それぞれの注意点について解説します。

在庫を持ちすぎないようにする

在庫リスクを避けるためにも、在庫を持ちすぎないようにしましょう。在庫を持ちすぎると以下のようなリスクがあるからです。

  • 収益悪化のリスク
  • 在庫維持費用の発生
  • キャッシュフローの減少

そのためには、在庫管理や受発注管理、商品登録や情報更新をしっかり行うことが重要です。

月々の固定費を最低限に抑える

ネットショップの運営にかかる月々の固定費は、できる限り抑えるように努めましょう。固定費がかさむと利益率が下がり、場合によっては売上があるのに赤字になる可能性もあるからです。

ネットショップにおける固定費の例は以下の通りです。

  • システム利用料
  • サーバー代
  • 広告費
  • 販売促進費

低コストの集客方法から試す

集客方法については、低コストで始められるものから試すことが大切です。

具体的には、SEO対策やSNSなどがおすすめです。SEO対策はユーザーが検索するキーワードを盛り込んでコンテンツを配信します。SNSはターゲットに向けて投稿を配信し、ネットショップの存在を知ってもらいます。

Web広告はコストが高くつくので、はじめから取り入れる必要はありません。ネットショップが軌道に乗ってから、Web広告によってさらに集客を拡大していくといいでしょう。

ファンを増やしてリピート客を増やす

自分のネットショップでファンを増やし、リピーターを獲得することが大切です。新規顧客を取り込むよりも、低コストで売上につなげられます。

新規顧客を取り込むには、広告を打つことでコストが発生します。またターゲットについて調査する必要があるでしょう。

一方で、既存顧客ならどんな商品を購入したのか、年齢はどれくらいかなど情報が揃っています。こうした情報を元に施策を立てることで、売り上げ拡大につなげられます。

コストのシミュレーションや事業計画を立てる

仕入れ先や配送会社などがきまったら、売上やコストを想定してコストをシミュレーションしておきましょう。シミュレーションしておかないと、赤字になるリスクに気付けないまま開設することになってしまいます。確定申告にも使うので、収支計算を正確に行うことが重要です。

助成金の活用

補助金の活用によって、コストを抑えてネットショップを開設できる場合があります。代表的な例は以下の通りです。

IT導入補助金 中小企業・小規模事業者向けにITツールを導入するのを支援
小規模事業者持続化補助金 小規模事業者向けに販路開拓や生産性向上の取組を支援
自治体独自の補助金 各自治体が設けている補助金制度

お住まいの地域で利用できる補助金がないか探してみましょう。

アフターフォローや問い合わせ対応を行う

アフターフォローや問い合わせ対応を行うことも重要なポイントです。ネットショップを利用するにあたって、万が一トラブルがあった際、どこに問い合わせればいいのか分からないと、不安に感じられるからです。

また、商品の発送や到着に合わせてメールを配信できると良心的です。ツールやプラグインを導入すれば自動的に配信できるので、検討してみてください。

キャンセルや返品ポリシーを明確にする

キャンセルや返品ポリシーを明確にすることも注意点の一つです。万が一商品に破損があるなどのトラブルが発生しても、返品してもらえるなら安心して利用できるからです。

ネットショップでは、法律上返品・交換のルールを記載しなくてはなりません。また、記載していたとしても分かりにくい場合は安心してもらえないでしょう。

その場合、ショッピングカートに商品が入ったまま離脱されるカゴ落ちにつながる可能性もあります。カゴ落ち対策については以下の記事で詳しく解説しています。こちらも合わせてお読みください。

ECサイトについて不安がある方はぜひご相談ください

ECサイトについて不安がある方はぜひご相談ください

ネットショップを構築する方法はいくつかあり、メリットやデメリット、サイトの規模を考慮しながら選ぶことが大切です。構築の際は扱う商品に合わせてコンセプトを考え、ターゲットに刺さるようなネットショップにしましょう。

もしネットショップの開業について不安なことがあれば、テクノデジタルにご相談ください。弊社ではECモールへの出店からフルスクラッチまで、幅広くサポートいたします。ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。

投稿者

  • デジタルトレンドナビ編集部

    システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。