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2025.07.08

CSR活動とは?具体例や似た用語との違いを解説

CSR活動とは?具体例や似た用語との違いを解説

企業は利益を追求するだけでなく、社会や環境に配慮した活動を行うことが求められる時代になっています。近年、企業の社会的責任(CSR)への取り組みが注目されており、大手企業から中小企業まで、さまざまな形でCSR活動を展開しています。しかし「CSR活動」とは具体的にどのようなものか、またサステナビリティやSDGs、ボランティア活動との違いが分かりにくいと感じている方も多いのではないでしょうか。


そこで本記事では、CSR活動の基本から具体例、関連する用語との違い、さらにメリットや注意点までわかりやすく解説します。

CSR活動とは

CSR活動とは

CSRとは「Corporate Social Responsibility」の略で、日本語では「企業の社会的責任」と訳されます。企業が自社の利益追求だけでなく、社会や環境への責任も果たし、持続可能な社会の実現に貢献するための取り組みを指します。

CSRには環境保護、地域貢献、労働環境の改善、法令順守など多岐にわたる活動が含まれます。単なる慈善活動ではなく、企業の事業活動の一環として社会的課題に向き合う点が特徴です。

CSR7つの原則・中核主題

CSRの考え方は、国際規格ISO26000で7つの原則と7つの中核主題として整理されています。7つの原則は以下になります。

  • 説明責任
  • 透明性
  • 倫理的な行動
  • ステークホルダーの尊重
  • 法の尊重
  • 国際行動規範の尊重
  • 人権の尊重

これらの原則のもと、環境、人権、労働慣行、公正な事業慣行、消費者課題、地域社会への参画など、7つの中核主題に取り組むことがCSRの基本とされています。 企業はこれらを事業にどう取り入れるかを考え、自社に適したCSR活動を実施することが重要です。

日本でCSRを取り組む企業が増加している背景

日本でCSR活動に取り組む企業が増えた背景には、社会の価値観の変化があります。環境問題、労働問題、地域格差など、さまざまな社会課題が浮き彫りになり、企業もそれに対する責任を果たすことが求められるようになりました。

また、企業の透明性や倫理観への関心も高まり、消費者や投資家からの信頼を得るためにもCSR活動は欠かせない要素となっています。さらに、国際社会との取引や事業展開を進める中で、CSRが世界標準の経営手法と認識されていることも、日本企業の取り組みを後押ししています。

CSR活動の具体例

CSR活動の具体例

CSR活動は企業ごとに内容が異なりますが、ここでは実際に取り組んでいる日本企業の事例を紹介します。

トヨタ車体株式会社

トヨタ車体株式会社では、環境保全活動に力を入れています。例えば、事業所内の二酸化炭素排出削減、省エネ設備の導入、再生可能エネルギーの利用を推進。

また、地元の子どもたちを対象とした自然体験イベントや交通安全教室を開催し、地域社会との交流にも積極的です。さらに、工場排水の浄化や廃棄物削減など、事業活動のあらゆる場面で環境負荷の低減に取り組んでいます。

キヤノンITソリューションズ株式会社

キヤノンITソリューションズ株式会社は、情報セキュリティの強化や働き方改革、女性活躍推進などの社内施策とともに、社会貢献活動も展開。

地元小学校でのプログラミング教室、災害被災地への支援金寄付、社員によるボランティア活動など、多方面にわたる取り組みを行っています。特にIT企業ならではのノウハウを活かし、情報教育の普及や地域デジタル化支援にも注力しています。

株式会社ユニクロ

アパレル大手の株式会社ユニクロは、服を通じた社会貢献に取り組んでいます。不要になった服の回収・再利用活動「RE.UNIQLO」を国内外で展開し、難民支援や災害被災者支援に役立てています。

また、労働環境の改善やサステナブル素材の活用、サプライチェーン全体での人権尊重も重要なCSR課題として位置付け、国連グローバル・コンパクトにも参加しています。

CSR活動と似ている用語の違い

CSR活動と似ている用語の違い

CSR活動は似た概念も多く、混同されがちです。ここでは、特に混同しやすい3つの用語との違いを整理します。

サステナビリティの違い

サステナビリティは「持続可能性」を意味し、企業や社会、地球環境が将来にわたり健全に維持される状態を目指す考え方です。CSRはその一部として位置付けられ、企業の事業活動が社会や環境に悪影響を与えず、持続可能な社会の実現に寄与することを目的とします。CSRが企業の責任であるのに対し、サステナビリティはより広範で、社会全体の在り方に関わる概念です。

SDGsの違い

SDGs(Sustainable Development Goals)は、2015年に国連が採択した2030年までの国際目標です。貧困、教育、ジェンダー平等、気候変動など17の目標と169のターゲットで構成されています。企業のCSR活動は、このSDGsの達成に貢献する手段として位置付けられることが増えており、CSRとSDGsは密接に関連しています。ただし、CSRは企業単独の責任、SDGsは国際社会全体の目標という違いがあります。

ボランティア活動の違い

ボランティア活動は、個人や団体が自主的に社会貢献のために行う無償の活動です。一方、CSR活動は企業の事業戦略の一環として位置付けられ、社会的課題の解決を目指しながら企業価値の向上も図ります。CSR活動の中に、社員によるボランティア活動が含まれることもありますが、CSRはより包括的な取り組みを指します。

CSR活動を行うメリット

CSR活動を行うメリット

CSR活動にはさまざまなメリットがあります。企業経営における具体的な利点を確認しましょう。

ブランディングにつながる

社会貢献に積極的な企業は、消費者や取引先からの評価が高まり、ブランドイメージの向上につながります。環境や地域社会への配慮をアピールすることで、好感度を高め、商品・サービスの選ばれる理由になることも少なくありません。

コンプライアンス意識の定着

CSR活動を推進する過程で、法令遵守や倫理意識が社内に浸透し、コンプライアンスの強化につながります。不正防止やトラブル回避にも効果があり、健全な企業風土の形成に役立ちます。

企業活動のグローバル化に役立つ

国際取引や海外事業を行う際、CSRへの取り組み状況は重要な評価ポイントになります。CSRを適切に実施することで、海外の取引先や現地社会からの信頼を得やすくなり、グローバル展開をスムーズに進められます。

従業員の定着率・満足度の向上

CSR活動への参加や、働きやすい職場づくり、地域社会との交流を通じて、従業員の満足度が高まります。結果として離職率の低下や、人材の定着にもつながります。企業の理念に共感する人材の採用にも効果的です。

CSR活動に取り組むときの注意点

CSR活動に取り組むときの注意点

CSR活動は良いこと尽くしのように思えますが、いくつか注意点もあります。

コストが増えることを理解しておく

CSR活動は人件費や設備投資、寄付金などコストがかかるケースもあります。長期的な効果を見越し、無理のない範囲で取り組むことが重要です。費用対効果を測定し、持続可能な活動計画を立てましょう。

人材のリソースが不足する可能性がある

CSR活動には専任担当者や現場スタッフの協力が不可欠です。しかし、通常業務との両立が難しく、リソース不足に陥ることもあります。担当者の育成や業務分担の見直しを行い、社内体制を整えてから実施することが望ましいです。

自社に合うCSR活動を行う

CSR活動は他社の事例を真似するだけでは効果が薄い場合もあります。自社の事業内容や理念、地域の特性に合った活動を選び、独自性を持たせることで、社内外からの評価も高まります。

まとめ

まとめ

CSR活動は企業が社会や環境への責任を果たし、持続可能な社会づくりに貢献するための重要な取り組みです。トヨタ車体、キヤノンITソリューションズ、ユニクロの事例からもわかるように、その内容は多岐にわたります。サステナビリティ、SDGs、ボランティアとの違いを理解し、自社に合ったCSR活動を計画・実行することで、ブランド価値の向上や社員満足度の向上、グローバル展開の推進にもつながります。

これからCSR活動に取り組む企業は、メリットと注意点を踏まえ、持続可能な計画を立てることが成功の鍵となるでしょう。

投稿者

  • デジタルトレンドナビ編集部

    システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。