2025.06.17
エグゼクティブサマリーとは?必要項目や作成時のポイントを解説

ビジネスプランの提出やプロジェクトの提案、事業計画書の作成時に欠かせないのが「エグゼクティブサマリー」です。エグゼクティブサマリーは、経営層や投資家、利害関係者が短時間で事業の全体像を把握できるようにまとめた要約資料です。この資料が優れているかどうかで、計画の理解度や関心度、さらには意思決定のスピードまで左右されることもあります。
しかし、エグゼクティブサマリーの作り方に明確な正解はなく、「何をどこまで書けばいいのか分からない」という方も少なくありません。
そこで本記事では、エグゼクティブサマリーの基本から必須項目、効果的な構成、作成時のポイントまで、分かりやすく解説します。これから事業計画書を作成する方や、プレゼン資料をまとめる方はぜひ参考にしてください。
目次
エグゼクティブサマリーとは

エグゼクティブサマリーとは、事業計画書や提案書の冒頭に添える要約部分で、読む人が短時間で事業の概要を把握できるようにまとめた資料です。通常、1〜2ページ程度に収められることが多く、事業の目的、概要、ビジネスモデル、将来性などの要点を簡潔に記載します。 エグゼクティブサマリーの役割は、資料全体を読み込む前に「この事業計画は検討に値するかどうか」を判断する材料を提供することです。経営層や投資家は限られた時間で多くの資料に目を通すため、この部分で興味を引けるかが重要なポイントとなります。
エグゼクティブサマリーとサマリーとの違い

よく混同されがちなのが「エグゼクティブサマリー」と「サマリー(要約)」の違いです。どちらも「まとめ」という点では共通しますが、その目的と読者層に大きな違いがあります。
「サマリー」は、資料の内容を誰にでも分かりやすく要約したものです。例えば報告書や調査結果のまとめとして使われることが多く、専門知識の有無に関係なく読み手が全体像を掴めるようにするのが目的です。
一方、「エグゼクティブサマリー」は、主に経営層や投資家など意思決定権を持つ人に向けた要約です。そのため、事業の意義や将来性、投資判断の材料となる情報が端的にまとめられています。単なる内容のまとめではなく、「なぜこの事業が重要なのか」「どんな収益性が見込めるのか」といった判断の軸となる要素が盛り込まれる点が大きな違いです。 エグゼクティブサマリーは、読み手に行動(検討・投資・承認)を促すための戦略的な要約資料だと言えます。
エグゼクティブサマリーの必須項目

効果的なエグゼクティブサマリーを作成するには、必ず盛り込むべき項目があります。以下の要素は基本として押さえておきましょう。
事業の目的
まずは、その事業をなぜ行うのかを明確に記載します。社会課題の解決、顧客ニーズへの対応、新たな市場の創出など、事業の背景と目的をシンプルかつ説得力のある言葉でまとめることが大切です。 例えば、「高齢化が進む地域社会において、移動販売サービスを展開し、生活インフラの維持と高齢者の生活支援を実現する」といった形で、具体的な課題と解決策をセットで提示すると伝わりやすくなります。
事業の概要
次に、事業の全体像を説明します。提供する商品・サービスの内容、ターゲット顧客、サービスエリア、実施体制などを簡潔にまとめます。 ポイントは、専門用語や複雑な表現を避け、誰でもイメージしやすい内容にすることです。ビジネスの要点を端的に記載し、「どんな事業なのか」「誰のためのものなのか」がひと目で分かる構成を意識しましょう。
ビジネスモデル
さらに、どのように収益を得るのか、利益構造がどうなっているのかも重要な情報です。製品販売型なのか、サブスクリプション型なのか、広告収益型なのかなど、ビジネスモデルの種類と収益の流れを分かりやすく記載しましょう。 例えば、「月額定額制のサブスクリプション型モデルにより、安定したキャッシュフローを確保し、継続的なサービスアップデートを実施する」といった形で、投資家が事業の成長性と安定性をイメージできる記述が求められます。
エグゼクティブサマリーにあると効果的な項目

基本項目に加え、次のような情報も盛り込むことで、より説得力のあるエグゼクティブサマリーが完成します。
ニーズ | その事業が市場や顧客にとってどれほど必要とされているかを示すデータや調査結果を簡潔に記載しましょう。市場規模や成長率、顧客の課題・不満点などを数値や具体例で示すと、説得力が増します。 例えば、「〇〇調査によると、都市部の高齢者の移動手段不足は80%以上が課題と認識しており、早急な対応が求められている」などの記述が効果的です。 |
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事業の強み | 自社やプロジェクトの競争優位性を示す項目です。独自技術、特許、専門人材、実績、他社にないサービス内容など、事業成功の鍵となる要素を整理して記載します。 「業界トップクラスの導入実績と、専門資格保有者による高品質なサービス提供」といったアピールがあると、読み手の安心感と興味を引くことができます。 |
市場の状況 | 市場環境や競合の動向もエグゼクティブサマリーに記載しておくと、事業の位置付けがより明確になります。市場の成長性、競争状況、参入障壁などを簡潔にまとめ、事業のチャンスやリスクを読み手が把握できるようにしましょう。 |
戦略と戦術 | 最後に、事業の成長を実現するための戦略と具体的なアクションプランも記載します。新規顧客獲得方法、販売チャネル、プロモーション施策、収益化までのステップなどを分かりやすく整理しましょう。 例えば、「初年度は既存の販売ネットワークを活用し、早期のシェア獲得を目指す。翌年以降はECを強化し、販路拡大とデータ活用によるリピート率向上を図る」といった計画を提示すると、事業の実現性が伝わります。 |
エグゼクティブサマリーの書き方

では、具体的にどうまとめれば良いのか。書き方のポイントを整理しましょう。
- 簡潔に分かりやすくまとめる
エグゼクティブサマリーは、限られた時間で理解してもらうための要約資料です。内容はできるだけ簡潔にまとめ、専門用語は極力避けましょう。1〜2ページを目安に、主要項目ごとに小見出しを付けると読みやすくなります。
文章は短く区切り、箇条書きも効果的です。特に、数値データや実績、強みは視覚的に整理することで、内容の理解度が一気に高まります。
- 読者が求めている情報にフォーカスを当てる
誰が読むのかを意識するのも重要です。投資家、経営者、行政担当者など、読み手によって関心のあるポイントは異なります。相手が最も知りたい情報を優先的に盛り込みましょう。
例えば投資家向けなら「収益性」や「市場成長性」、行政向けなら「地域課題の解決度合い」「雇用効果」など、読み手の目的に合わせて記述内容を調整することで、共感と興味を得やすくなります。
- 事業段階によって内容を変える
事業の立ち上げ前なのか、すでに実績があるのかによって、エグゼクティブサマリーの構成も変わります。新規事業なら、ニーズと成長可能性の説明に重点を置き、実績のある事業なら、成果データや今後の成長戦略を中心に記載するのが効果的です。事業段階に応じた内容の取捨選択を行い、伝えるべきポイントを絞り込みましょう。
まとめ

エグゼクティブサマリーは、事業の魅力と将来性を端的に伝え、相手の興味を引きつける重要な要約資料です。基本項目として「事業の目的」「概要」「ビジネスモデル」を押さえ、さらに「ニーズ」「強み」「市場状況」「戦略と戦術」を加えることで、説得力のある構成が完成します。
作成の際は、簡潔で分かりやすい記述、読み手に合わせた情報の取捨選択、事業段階を踏まえた構成を意識することがポイントです。適切なエグゼクティブサマリーを用意することで、提案やプレゼンの成功率も大きく高まります。ぜひ今回の内容を参考に、魅力的なエグゼクティブサマリーを作成してください。
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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