2025.06.06
ガイドラインとは?マニュアルとの違い・ビジネスでの使い方を簡単に解説!

ビジネスや法律、医療などさまざまな分野で使われる「ガイドライン」。言葉としてはよく耳にするものの、「マニュアルとは何が違うの?」と思う人も多いのではないでしょうか。ガイドラインは、業務や行動の指針を示すものであり、必ずしも細かい手順を定めたものではありません。
本記事では、ガイドラインの基本的な意味や使われ方、マニュアルとの違い、作成のポイントなどをわかりやすく解説します。
目次
ガイドラインとは

ガイドラインとは、特定の業務や行動に関する指針や基準を示したものです。英語の「guideline」は、「指標」や「指針」と訳され、何かを進める際の大まかなルールや方向性を示す役割を持ちます。
ガイドラインは、必ずしも厳格な規則ではなく、「こうするのが望ましい」といった推奨事項を示すものです。そのため、業界や企業、組織ごとに異なる基準が設定されることが多く、具体的な行動の詳細までは定められないケースもあります。
例えば、企業のコンプライアンスガイドラインでは、法令順守のために取るべき行動や避けるべき行為についての指針を示します。また、デザインガイドラインでは、ブランドの統一性を保つための色やフォントの使用ルールを規定することがあります。
「ビジネス」におけるガイドラインの意味
ビジネスの場では、ガイドラインは業務の進め方や判断基準を統一するために用いられます。組織内での意思決定のばらつきを防ぎ、業務の効率化や品質の向上につながります。
具体的な例として、以下のようなものがあります。
ブランドガイドライン | 企業のロゴやカラー、フォントの使用ルールを定める。 |
---|---|
SNS運用ガイドライン | 社員がSNSを利用する際のルールや注意点を明記する。 |
セキュリティガイドライン | 情報管理やデータ保護に関する指針を示す。 |
これらのガイドラインがあることで、従業員が判断に迷うことなく適切な行動を取ることができ、企業全体の一貫性が保たれます。
「法律」におけるガイドラインの意味
法律においてガイドラインは、法律の解釈や適用方法を補助するための指針として機能します。政府機関や業界団体が発行することが多く、法律を守るための具体的な行動を示します。
例えば、労働基準法に関するガイドラインでは、労働時間管理やハラスメント防止策についての具体的な対策が示されています。また、消費者保護のためのガイドラインでは、企業が広告を行う際の表現のルールが明確にされています。
ただし、ガイドライン自体は法律ではなく、直接的な強制力はありません。しかし、ガイドラインに従わない場合、行政指導を受けたり、企業の信頼を損なうリスクがあるため、多くの組織がその内容を遵守しています。
「医療」におけるガイドラインの意味
医療の分野では、ガイドラインは診療や治療の標準的な方法を示すものとして活用されています。医師や医療従事者が適切な診療を行うための参考資料として、学会や厚生労働省などが発行するケースが多いです。
例えば、日本糖尿病学会が発行する「糖尿病治療ガイドライン」では、最新の医学的知見に基づき、糖尿病患者への治療方針が示されています。また、感染症対策のガイドラインでは、病院内での感染防止策や患者対応の手順が規定されています。
このように、医療ガイドラインは患者の安全や治療の質を確保するために重要な役割を果たしています。
ガイドラインとマニュアルの違い

ガイドラインとマニュアルは混同されがちですが、それぞれ目的や内容が異なります。
項目 | ガイドライン | マニュアル |
---|---|---|
目的 | 基本的な指針を示す | 具体的な手順を示す |
内容 | 抽象的で柔軟性がある | 詳細で明確な手順が書かれている |
適用範囲 | 幅広く適用される | 限られた業務に特化 |
変更のしやすさ | 柔軟に変更可能 | 変更には手間がかかることが多い |
例えば、企業のSNS運用に関する場合、
- ガイドライン:「企業のブランドイメージを損なわない投稿を心がける」
- マニュアル:「Twitterの投稿は1日2回まで、画像サイズは1080×1080px」
このように、ガイドラインは方向性を示すのに対し、マニュアルは具体的な実施方法を示すものです。
ガイドラインを作成する際のポイント

続いて、ガイドラインを作成する際のポイントをご紹介します。4つのポイントを抑えることがガイドライン作成のコツです。
①ガイドラインの目的を決める
ガイドラインを作成する際に最も重要なのは、その目的を明確にすることです。目的が不明確なままだと、作成したガイドラインが実際の業務で活用されず、形骸化する恐れがあります。
例えば、企業のコンプライアンス強化を目的とする場合、従業員が法令を遵守しながら業務を遂行できるよう、具体的にどのような行動が望ましいのか、どのようなリスクを回避すべきかを示す必要があります。反対に、社内のデザインガイドラインであれば、企業のブランディングを統一し、社外に一貫したイメージを伝えることが目的になります。
このように、ガイドラインの目的が明確になれば、内容の方向性が定まり、関係者にとって実用性の高いものになります。作成前に「何のために必要なのか?」を整理し、目的を明確にしましょう。
②対象範囲を決める
ガイドラインは、誰がどのような場面で活用するのかを明確にすることが重要です。対象範囲が明確でないと、必要な人にとって有益な情報にならず、逆に不要な情報を含んでしまい、読みにくいものになってしまいます。
例えば、企業のSNS運用ガイドラインを作成する場合、対象が「全社員」なのか、「広報・マーケティング担当者のみ」なのかで、内容の詳細度が変わります。全社員向けであれば、SNSの基本的なルールや禁止事項を広く示す必要がありますが、担当者向けであれば、より細かい投稿ルールやトラブル発生時の対応策まで記載する必要があります。
また、ガイドラインの適用範囲が国内のみなのか、海外支社や関連会社にも適用するのかによっても、記載内容に違いが生じます。ガイドラインを作成する際には、「誰のためのものか?」「どの業務に関係するのか?」を明確にし、実用性の高いものにすることが大切です。
③内容は抽象的に記載する
ガイドラインは、業務の柔軟性を確保するために、具体的すぎるルールではなく、一定の抽象度を持たせることが重要です。マニュアルのように細かく手順を定めると、状況に応じた柔軟な判断が難しくなり、かえって実務の支障となる場合があります。
例えば、「顧客対応ガイドライン」を作成する際に、「必ずこの順番で説明する」と厳密に決めてしまうと、個々の顧客の状況に応じた対応ができなくなる可能性があります。そのため、「顧客の立場に立ち、誠実な対応を心がける」「クレームが発生した場合は、速やかに上司に報告し、適切な対処を行う」といった形で、一定の裁量を持たせる表現が適しています。
ただし、抽象的すぎると解釈が分かれ、統一性が失われる可能性があるため、適度な具体性を持たせることも重要です。「推奨する行動例」や「避けるべき行動例」を併記することで、実際の業務で活用しやすくなります。
④常にブラッシュアップしながら運用する
ガイドラインは一度作成すれば終わりではなく、定期的に見直し、改善していくことが重要です。ビジネス環境や法規制、技術の変化に伴い、従来のガイドラインが適用できなくなることがあるため、現場の実態に合わせてブラッシュアップする必要があります。
例えば、ITセキュリティガイドラインを作成した場合、数年後には新たなサイバー攻撃の手法が出現し、当初のルールが不十分になる可能性があります。そのため、定期的に最新の情報を反映し、内容を更新することで、実効性のあるガイドラインを維持できます。
運用のルールとして、「○年ごとに見直しを行う」「現場のフィードバックを定期的に収集する」といった仕組みを設けると、ガイドラインが時代遅れになることを防げます。
「ガイドライン」に関するよくある質問

最後に「ガイドライン」に関するよくある質問を3つご紹介します。
Q1.ガイドラインとはどういう意味ですか?
ガイドラインは、特定の業務や行動に関する指針や基準を示すものです。厳格なルールではなく、推奨される行動を示すものが一般的です。
Q2.ガイドラインに強制力・法的効力はありますか?
通常、ガイドラインには法的強制力はありません。ただし、業界標準として認識されることが多く、従わないと企業の信頼性が損なわれる可能性があります。
Q3.ガイドラインの例文は?
「当社のSNS運用ガイドラインでは、誹謗中傷を含む投稿を禁止しています。」
まとめ

ガイドラインは、業務や行動の指針を示す重要なツールです。マニュアルとの違いを理解し、適切に活用することで、組織の統一性を保ち、効率的な運用が可能になります。適切なガイドラインを策定し、定期的に更新することが大切です。
投稿者
-
システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
同じカテゴリの記事
新着記事
人気の記事