2025.03.11
WBSとは?導入のメリットや作成方法、活用時のポイントを徹底解説

「WBSについて知りたい」「WBSを使ってプロジェクト管理をしたい」「WBSを理解し活用したい」
WBSはプロジェクトを作業ごとに細分化し、何をどこまで進めたかを一目瞭然にできるツールです。
この記事を読めばWBSについてしっかりと理解できますので、これからWBSを使いたい方は必見です。
この記事でわかること
- WBSとは
- WBSのメリット
- WBSの作成方法と活用方法
WBSとは?

WBSはWork Breakidown Structureのイニシャルを取った略称で、直訳すると「作業分解構成図」という意味です。
プロジェクトで実行すべき作業を細分化して、計画通りに実行するための分かりやすい指標になります。
WBSの特徴としては、プロジェクト全体を可視化できるという事です。
一見してプロジェクトの全体を見渡す事ができれば、「最終的に何をすべきか」というゴールも明確になりますし、「目標達成までに何をしなければいけないか」というタスクも見えてきます。
また、WBSには「成果物型」と「プロセス型」があり、前者はゴールから逆算してタスクを抽出でき、後者は計画をもとにタスクを洗い出します。
WBSとガントチャートの違い

WBS(Work Breakdown Structure)とガントチャートは、プロジェクト管理において非常に重要なツールで、良く混同されがちです。しかし、それぞれ異なる役割を持っていますので、それぞれの詳細と特徴を下記の表で見ていきましょう。
WBS | ・プロジェクトの範囲を明確にする ・プロジェクトの作業を階層的に分解する ・全体の作業範囲を明確にする ・作業項目や成果物の詳細リストを作成する |
---|---|
ガントチャート | ・プロジェクトのスケジュール管理を支援する ・プロジェクトのタスクとスケジュールを見える化する ・タスクの開始日や終了日、進捗状況や依存関係などを時間軸に沿って示す |
つまり、WBSは「何をするか」を明確にし、ガントチャートは「いつそれを行うか」を視覚化します。WBSはプロジェクトの全体像を把握するために使用され、ガントチャートはスケジュール管理や進捗追跡に役立ちます。
最終的には、下記の図のようにWBSとガントチャートを連結して使用することが多くなります。

WBSとガントチャートを組み合わせることで、どの作業がどこまで進んでいるかすぐわかるようになります。まずはWBSを作成し、全体を明るくしてからガントチャートを作りこむという順番が良いでしょう。
WBSの6つのメリット

WBSを活用する際、さまざまなメリットがあります。
ここでは、WBSの主なメリットを以下のように6つ紹介します。
- やるべき作業が明確化できる
- スケジュールの作成が容易になる
- 作業の進捗管理が容易になる
- 役割を分担できる
- 作業工数の見積もりが可能になる
- 作業の依存関係が明確になる
それぞれを見ていきましょう。
メリット①|やるべき作業が明確化できる
WBSを作成することで、プロジェクトのすべての作業が階層的に整理され、具体的に何をする必要があるのか、やるべき作業が明確になります。プロジェクトメンバー全員が作業範囲と目的を理解しやすくなりプロジェクトの遂行がスムーズになるでしょう。 さらに細かく言えば、WBSを設定することで「誰が」「何を」「いつから開始するのか」「いつまでに完了させるのか」がしっかりと分かります。 一目みれば、必要なことがしっかりと分かるというのが、WBSの良いところです。
メリット②|スケジュールの作成が容易になる
WBSに基づいて、各作業の所要時間や依存関係を明確にすることで、スケジュール作成が容易です。まずは大まかな開始時期と完了時期をWBSで表示して、作業やプロジェクトの完了までにかかる時間を決めます。 各タスクの開始日や終了日を設定するための基礎データが提供されるので、ガントチャートなどのツールを使用できるようになります。 そこから、細かい作業内容やスケジューリングの設定が可能になり、ガントチャートを活用すると、どこまで作業をしたのかという「進捗状況」も一目で把握できるようになります。
最終的に、WBSとガントチャートを連結させると、分かりやすいスケジュール表が完成します。 こうした視覚的にも分かりやすいスケジュールを作成することで、業務に携わるメンバーひとりひとりが、「いつまでになにをすればよいか」という作業手順を把握可能になります。
メリット③|作業の進捗管理が容易になる
作業ごとに進捗状況を追跡できるため、プロジェクト全体の進捗状況を把握しやすくなります。進捗を定期的に確認することで、問題の早期発見や修正が可能になり、プロジェクトの遅延を防ぐことが期待できます。 進捗が現状でどのようになっているか、手軽に確認できないと、問題が発生した場合の対応が遅れてしまったり、必要のない作業を実施してしまったりするリスクが多発する可能性があります。
メリット④|役割を分担できる
WBSでは、各作業パッケージに担当者を割り当てることができます。 視覚的に作業が分かりやすく表示されるので、「誰が」「何をすべきか」が一目瞭然です。また、各メンバーが自分の担当作業を明確にできるので、各自がやるべきことに集中できる環境が整います。
メリット⑤|作業工数の見積もりが可能になる
各作業パッケージに対して必要な工数を見積もることができ、全体のリソース計画を立てる際の基礎になります。 WBSではざっくりとした作業項目を一覧でき、それぞれの項目に対してさらにタスクを細分化して置くことができます。 プロジェクトの予算やリソース配分が適切に行われ、無駄なコストやリソースの浪費を防ぐことが可能です。
またWBSで個々の作業に分割することによって、それぞれの見積もりが明確になるでしょう。
メリット⑥|作業の依存関係が明確になる
WBSにより、各作業の依存関係が明確になります。どのタスクが他のタスクに依存しているのかを理解することで、プロジェクトの進行における潜在的なリスクや問題を把握し、適切な対策を講じることが可能です。 また、作業に参加するメンバーがそれぞれお互いの工程を確認できるので、問題になる部分を見つけあったり、リスク発生の可能性を教えあったりすることが容易になります。
WBS作成の4ステップ

実際にWBSを作成するための具体的な方法を紹介します。
以下4つのステップで作成すると良いでしょう。
- タスク分解と洗い出し
- タスク順序の設定
- タスクの構造化
- タスクの担当者・期日の設定
1つずつ解説していきます。
ステップ①|タスク分解と洗い出し
最初に、プロジェクト全体の作業を大まかに分解し、主要な成果物(ゴール)を特定します次に、それぞれの成果物を達成するために必要な具体的な作業タスクを洗い出します。
この段階では、プロジェクトの全体像を把握し、作業項目をリストアップします。また、タスクはフェーズごとに分けてさらに細かい要素に細分化してみましょう。 細分化されたタスクが一目でわかるので、どのくらいのメンバーが必要か分かりやすくなりますし、必要であればどの作業に何名の作業メンバーを追加するのかも判断しやすくなります。 さらに、タスクひとつひとつにかかる「時間」が分かるまで細かく洗い出すと、より正確な一覧を完成できます。
ステップ②|タスク順序の設定
洗い出したタスクを実行順序に並べ、どのタスクが他のタスクに依存しているのかを明確にします。 このタスク間の関係性を見極めながら、作業を実行する順序を決定しましょう。タスク間の依存関係が整理され、適切なスケジュールを作成するための基盤が整います。作業に参加するメンバー同士の情報共有や意見交換などもスムーズになるはずです。
ステップ③|タスクの構造化
タスクを階層的に構造化し、各タスクがどの成果物に属するのかを明確にします。 「構造化する」とは同じレベルのタスクをまとめて、その下に小さなレベルのタスクをまとめ、タスクを階層化させていくことです。 プロジェクトの各部分がどのように関連しているかが把握しやすくなり、管理が容易になります。
ステップ④|タスクの担当者・期日の設定
最後に、各タスクに担当者を割り当て、期日を設定します。 タスクの項目だけでなく、対象のタスクを任せる担当者などを日程に落とし込む作業を実施しましょう。 WBSの表には担当者の氏名を書き込む欄を設置したり、「開始時期」「完了時期」の日付を明記できる欄を設置したりしましょう。 また、予定と実績のギャップを最小限に抑えるために、担当者に確認を取り、納期などを相談して決定します。 これらの期日の設定により、スケジュール管理が効率的に行え、「誰が」「どの作業を」「いつまでに」実施するべきかが明確化され、プロジェクトの進行がスムーズになります。
WBS活用時の3つのポイント

最後にWBSを活用する上で3つのポイントを解説していきます。
- 定期的に見直す
- 工数を正確に見積もる
- 基準を設けて作成する
それぞれを説明します。
ポイント①|定期的に見直す
プロジェクトの進行に伴い、WBSを定期的に見直すことが重要です。 進捗状況や変更点を反映させることで、最新のプロジェクト状況を維持し、適切な対応が可能になります。 WBSは見直しやすい構造になっているため、問題が発生した場合、過去にどのような工程があったのか一目瞭然です。 また、情報不足によって生じるスケジュールのズレがWBSの最大のデメリットと言えるので、見直しは怠らないようにしましょう。
ポイント②|工数を正確に見積もる
各作業の工数を正確に見積もることで、リソースや予算の計画がより精度の高いものになります。 過剰な見積もりや不足した見積もりを避け、実際の作業に基づいた現実的な計画を立てることが重要です。
具体的には工数が無駄に多くなっていたり、バッファ(余力)を長くとりすぎることのないように注意が必要です。コストで自社を圧迫しつつ、納期も遅延してクライアントに迷惑をかけてしまうという2重のリスクが発生する可能性があります。 したがって、適切な工数と設定し、適切な間隔でバッファを取り入れることを心がけましょう。
ポイント③|基準を設けて作成する
WBSを作成する際には、標準化された基準を設けることが有益です。これにより、タスクの分解方法や作業の定義が一貫性を持ち、プロジェクト全体の管理がしやすくなります。 分解方法については、例えば「8/80ルール」があります。
これは「80時間ルール」と言われるもので、作業のレベルが8時間(1日)もかからないのでは小さすぎるし、80時間(2週間)かかるのでは大きすぎることから、8時間~80時間の間のレベルで細く分解しましょうというWBSを作成する際のルールのことです。
WBSを活用してプロジェクトの進捗管理をしよう
WBSを活用することで、プロジェクトの進捗管理が大幅に改善されます。 WBSをもとに、各作業の進捗状況を明確に把握し、問題が発生した際には迅速に対応することで、致命的なリスクを回避できます。 定期的な進捗確認と適切な修正を行うことで、プロジェクト成功の良き道標となるはずです。 WBSをうまく活用して、プロジェクトのスムーズな進行と目標達成を目指しましょう。
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