2024.08.15
KPIとは?|KGIとの違いや導入のメリット、指標の設計方法を徹底解説
「KPIってどんな役割があるの?」「KPIを導入するメリットって何?」このようなお悩みを抱えてはいないでしょうか。
KPIは重要業績評価指標と呼ばれ、企業や組織が設定した目標を達成するための指標です。KPIを正しく設定すると、目標達成の進捗状況の確認が可能です。
この記事では、KPIの定義や導入するメリット.指標の設計方法について詳しく解説します。本記事を読めば、KPIを理解して、自社に導入するべきか判断できるようになります。設定したKPIをわかりやすく可視化するには「octpath」を使えば作りやすいです。
目次
KPIとは?
ここでは、KPIの定義を解説しつつ、KPIのビジネスでの役割についてわかりやすく解説します。
KPIの定義とビジネスでの役割
KPIとは「Key Performance Indicator」の略で、日本語では「重要業績評価指標」と訳されます。企業や組織が設定した目標に対する進捗を測定するための指標であり、具体的な数字や割合で表されることが一般的です。
純利益やキャッシュ・フローのような財務指標が該当しますが、ビジネスにおいて重要な目標達成度を測るための指標にも使われます。
具体的には、売上高、顧客満足度、新規顧客獲得数などがKPIとして用いられ、企業やチームが設定した目標に対して、どの程度進捗しているかを定量的に評価するために使われます。
KPIを正しく設定して、戦略目標を実現するために、組織のパフォーマンスを可視化しましょう。
KPIとKGI、KSF、OKRとの違い
KPI、KGI、KSF、OKRは、ビジネスの目標設定や評価に使われる指標ですが、それぞれ異なる役割を持っています。
ここでは、KPIと3つの指標との違いをそれぞれ解説します。
これらの指標を理解し、適切に使い分けると、より効果的なビジネス戦略を立てられます。
KGIとは?
KGI(経営目標達成指標)は「Key Goal Indicator」の略で、企業やプロジェクトが最終的に達成すべき目標を示す指標です。簡単に言うと、KGIは「最終的なゴール」を表します。企業が成功するためには、KGIを明確に設定し、達成に向けた具体的なアクションを取ることが重要です。 例えば、ある会社が新製品を発売する際のKGIとして「発売から1年間で売上1億円を達成する」と設定したとします。明確な目標に向かって、様々な戦略や戦術が策定されます。そして、KGIは戦略や戦術が効果的であるかどうかを評価する基準となります。
KGIを設定すると、企業全体の方向性が一致し、全員が同じ目標に向かって努力しやすいです。 また、KGIは目標達成のための進捗を定期的に評価するための重要な基準となり、適切なタイミングでの軌道修正を可能にします。
KPIはKGIが設定した最終目標を達成するための中間目標として使われます。注意点として、最終数値指標より先に中間数値指標を決めてしまうと周りが混乱するため、KGIを設定する際には、KPIより前に設定するようにしましょう。
KSFとは?
KSF(重要成功要因)とは、企業やプロジェクトが成功するために必須となる要素や条件を指します。英語では「Key Success Factors」といいます。KSFを明確にすると、企業はどの要素に重点を置くべきかを理解し、戦略的な意思決定が行いやすいです。 具体的には、飲食業界では「顧客満足度」がKSFの一つとして挙げられます。顧客のニーズを満たし、リピーターを増やすことが業績向上のカギです。 KSFは目標を達成するための要因のため、突き詰めるとKGI(経営目標達成指標)やKPI(重要業績評価指標)を達成できます。KSFを設定する際には、業界の特性や市場環境、自社の強みと弱みを考慮するのが重要です。
OKRとは?
OKRとは、「Objectives and Key Results」の略で、企業やチームが達成したい大きな目標(Objective)と目標を測定する具体的な成果指標(Key Results)を組み合わせたものです。 OKRの特徴は、透明性と柔軟性です。目標は全員に公開されるため、誰がどの目標に向かっているかが明確になります。また、OKRは通常、四半期ごとに設定・評価されるため、迅速に環境変化に対応できるのも強みです。 例えば、Googleでは全社員が個々のOKRを持ち、会社全体の目標と連携させることで、一体感を持って取り組みを推進しています。 KPIとの違いとしては、KPIが100%達成できる現実的な目標を掲げるのに対して、OKRが設定するのは100%達成するのが難しい目標です。 正しく設定されたOKRは、会社の戦略的目標を達成するための羅針盤となり、全員が同じ方向を向いて進めます。
KPI導入のメリット
KPI(重要業績評価指標)を導入することには、以下の4つのメリットがあります。
それぞれ解説します。
メリット①|目標達成までのプロセスの『見える化』
KPIを導入するメリットの一つは、目標達成までのプロセスを『見える化』できることです。『見える化』とは、業務の進捗状況や達成度を数値やグラフなどで明確に示すことです。 進歩状況や達成度が視覚化されると、各社員が自分の役割や目標を具体的に理解し、効率的に業務を進められます。 KPIを通じて業務の『見える化』を実現することで、目標達成への道筋がより明確になり、企業全体の効率化と成果向上をサポートします。
メリット②|社員の評価基準が統一され公平な評価が可能
KPIを導入するメリットは、社員の評価基準を統一できる点です。評価基準を統一すると、全社員が同じ基準で評価されるため、公平な評価が可能です。 売上目標の達成率や新規顧客の獲得数など、具体的なKPIを設定します。具体的なKPIを設定すると、個々の社員の業績を明確に評価しやすいです。KPIを活用すると公平な評価基準を確立し、組織全体の成長を促進できます。
メリット③|社員のモチベーションが向上する
KPIを導入することで、社員のモチベーション向上にも大きな効果があります。 明確な目標が設定されると、社員は自分の役割や貢献度を具体的に把握できるようになります。自分の仕事が会社全体にどのように影響を与えるかを理解しやすくなり、仕事に対する意欲が高まります。 KPIの導入は社員のモチベーションを高め、企業全体のパフォーマンス向上につながる重要な要素です。
メリット④|PDCAのサイクルが回しやすくなる
KPIを導入すると、PDCAサイクルをスムーズに回せます。 PDCAサイクルは、継続的な改善を目指すための重要なフレームワークです。KPIを設定すると、計画(Plan)の段階で具体的な目標が明確になり、組織全体が共通のゴールに向かって動きやすいです。 実行(Do)の段階では、KPIを基に日々の業務が進行し、進捗状況をリアルタイムで把握できます。次に、評価(Check)の段階で定期的にKPIを見直すことで、現在のパフォーマンスを数値で確認し、どこに改善が必要かを具体的に把握できます。 改善(Act)の段階では、評価結果に基づいて次のアクションが選択可能です。KPIを用いると、改善策の効果を測定しやすくなり、PDCAサイクルを効率的に回せます。
KPIの設計ステップ
KPIを効果的に設計するためには、4つのステップを踏むことが重要です。
これらのステップを順番に進めることで、KPIが効果的に機能し、組織全体の目標達成に向けた明確な道筋が描けます。正確な設計は、企業の成長と持続的な成功に直結します。
ステップ①|KGIの設定
KPIを効果的に導入するための最初のステップは、KGI(重要目標達成指標)の設定です。KGIは企業全体の最終目標を示す指標で、長期的なビジョンやミッションに基づいて決定されます。具体的には、売上高、利益率、市場シェアなど、企業が達成したい最終的な成果を数値で表します。
例えば、ある企業が「年間売上高を20%増加させる」というKGIを設定したとします。この目標を達成するために、各部門やチームが具体的なプランを立て、進捗状況をKPIでモニタリングします。KGIは全社員が共有する最終目標であり、企業全体の方向性を示す重要な役割を果たします。
KGIを設定する際には、具体的かつ達成可能な目標を掲げることが重要です。
また、目標達成に向けた進捗を定期的に評価し、必要に応じて調整を行うことで、目標を達成できます。
しっかりとしたKGIの設定は、企業全体の成長を促進し、効果的なKPI導入の基盤となります。
ステップ②|KSFの設定
KSF(重要成功要因)は、KPIを設定する際に欠かせない要素です。KSFを設定するには、企業の目標やビジョンを明確にしましょう。
目標を明確にすると、どの要因が成功に直結するかを見極める基盤が整います。目標を明確にしたら、業界や市場の動向を調査し、競合他社がどのような成功要因を持っているかを分析します。成功要因を分析後、具体的なKSFを特定しましょう。
KSFの設定が成功すれば、企業全体のパフォーマンスが向上し、目標達成への道筋が一層明確になります。
ステップ③|KPIの設定
KSFの設定が完了したら、KPIの設定をしましょう。KPIを適切に設定すると、具体的な行動計画を明確にし、組織全体のパフォーマンスを効率的に管理できます。KPIを設定する際には、企業の最終目標であるKGI(重要目標達成指標)と連動させましょう。 KGIが具体的で測定可能なものであることを確認し、それを達成するために必要な中間目標をKPIとして設定します。 KPIの設定後は定期的にレビューを行い、必要に応じて修正も必要です。市場環境や内部の状況に応じて柔軟に対応し、常に最適な指標を保つように心がけましょう。
ステップ④|評価方法の設定
KPIの達成状況を客観的に把握するために、具体的な評価基準の設定が必要です。 売上目標に対しては、月ごとの売上額や成長率を基に評価することが考えられます。顧客満足度のKPIについては、定期的なアンケート調査の結果を分析し、数値化して評価します。評価基準の設定を行ったら、評価のタイミングを決めましょう。適切な頻度で評価を行うと、目標に向けた進捗を常に把握できるため、早期に問題を発見し、迅速な対応が可能です。
KPI設定のためのポイント
KPIは、ビジネスの目標達成に向けた道筋を示す重要なツールです。KPIを効果的に設定するためには、4つのポイントを押さえる必要があります。
これらのポイントを押さえることで、KPIをより戦略的に活用し、ビジネスの成長を加速させることができるでしょう。
ポイント①|「SMARTの法則」を意識する
KPIを効果的に設定するためには、「SMARTの法則」を意識することが重要です。SMARTの法則とは以下の5つの要素から成り立っています。
Specific(具体的) | 目標を明確で具体的にする。例えば、「売上を増やす」という漠然とした目標ではなく、「月間売上を10%増加させる」といった具体的な目標を設定していく。 |
---|---|
Measurable(測定可能) | 目標を数値で表現して、達成度を測定できるようにする。「顧客満足度を向上させる」ではなく、「顧客満足度アンケートのスコアを20ポイント上げる」といった形にする。 |
Achievable(達成可能) | 現実的で達成可能な目標を設定する。高すぎる目標はモチベーションを低下させ、逆に低すぎる目標は挑戦する意欲を失う。例えば「今の売上を2倍にする」のではなく「今の売上の10%増を目指す」のように達成可能な目標にする |
Relevant(関連性) | 目標が企業のビジョンや戦略に合致していることを確認する。例えば、「企業全体の売上を〇%増」を目指す場合、「商品1つの売上◇%増」と企業全体の目標に繋がる目標を設定する。 |
Time-bound(期限がある) | 目標には必ず期限を設定し、達成時期を明確にする。「1年以内に」「6ヶ月間で」など、期限を明示すると、計画的に行動が行える。 |
「SMARTの法則」を使うと、効果的なKPIを設定でき、企業の成長を支えられます。
ポイント②|「KPIツリー」を活用する
KPIツリーを活用すると、目標達成への道筋が明確になり、組織全体の取り組みを効率化できます。KPIツリーとは、最終目標(KGI)を頂点に置き、そこから派生する各KPIをツリー状に整理した図のことです。 このツリー構造により、各KPIが最終目標にどのように貢献しているかを一目で把握できます。 実際にKPIツリーの作成例を参考に作る際のポイントを紹介します。
作る際は4つのポイントを押さえましょう。
- 四則演算(+-×÷)の関係性で組む
- 計測可能な指標を選択
- 上下関係の指標で整える
- 行動の指標となるレベルまで分ける
ポイントを押さえながら、KPIツリーを活用して、目標達成に向けた取り組みをしましょう。
ポイント③|MECEを意識する
KPIの設定をする際には、MECE(Mutually Exclusive Collectively Exhaustive)を意識しましょう。MECEは「重複せず、漏れなく」という意味で、情報を整理し、分析する際の基本原則となります。 「重複せず」とは、各KPIが他のKPIと重複しないようにすることです。一方、「漏れなく」とは、設定したKPIがすべての重要な業績指標を網羅していることを指します。指標を網羅すると、どの要素も見落とさず、公正な評価が可能です。 MECEを進めるには以下のフレームワークを使います。
3C分析 | 市場と顧客の2つの視点を持って、自社の成功要因を見つける |
---|---|
SWOT分析 | 自社の環境と現状を分析して、ビジネス機会を発見する |
4P分析 | 4つのフレーム(製品・価格・流通・プロモーション)で分けて、マーケティング戦術を決める |
5フォース分析 | 5つのフレーム(業界内での競争・業界への新規参入者・代替品の存在・買い手の交渉力・売り手の交渉力)に分けて、収益性を検証する |
PEST分析 | 4つのフレーム(Politics・Economy・Society・Technology)に分類して、マクロ環境を把握する |
MECEを意識すると、目標達成のプロセスが明確になり、改善点の発見が容易になります。
ポイント④|優先順位をきめて取り組む
KPIを効果的に活用するためには、優先順位を明確にすることが欠かせません。優先順位を決める際には、ビジネスの全体像を把握し、どのKPIが最終的な目標達成に直結するかを見極めます。 新規顧客の獲得が重要であれば、そのためのマーケティング活動や営業戦略に重点を置くべきです。 ただし、優先順位は決めて終わりではなく、定期的に見直す必要があります。状況に応じて柔軟に見直しましょう。
職業別・業種別のKPI例
KPIは、職業や業種によって異なるため、具体的な例を参考にすることで効果的に設定することができます。ここでは、職業や業種における具体的なKPI例を紹介し、効果的なKPIの設定方法について詳しく解説します。
職業別のKPI例
KPIは職業ごとに異なる目標や業務内容に応じて設定されるべきです。職業別のKPI例は次の通りです。
職業 | KPI例 | 効果 |
---|---|---|
営業 | ・月間売上高 ・新規顧客獲得数 |
営業活動の成果が可視化され、目標達成までの過程が立てやすい |
マーケティング | ・ウェブサイトの訪問数 ・コンバージョン率 ・SNSのフォロワー数 ・エンゲージメント率 |
マーケティングキャンペーンの効果が数値でわかり、戦略の改善ポイントが見つけやすい |
カスタマーサポート | ・顧客満足度 ・問い合わせ対応時間 |
顧客サービスの質を維持・向上させるための指標がわかる |
エンジニア | ・プロジェクト完了率 ・バグ修正数 |
プロジェクトの進捗状況や品質管理の状態が明確にわかる |
表のように、各職業に合ったKPIを設定すると、効率的な業務遂行が可能となり、企業全体のパフォーマンス向上につながります。
業種別のKPI例
KPIは、業種ごとに異なる目標を設定し、その達成度を測るためのツールです。各業種で重視されるKPIは異なりますが、どの業種でも共通して効果的に使われています。以下に代表的な業種ごとのKPI例を紹介します。
業種 | KPI例 | 効果 |
---|---|---|
製造業 | ・製造サイクルタイム ・不良品率 ・在庫回転率 |
生産業務の改善やコスト削減 |
小売業 | ・平均客単価 ・来店客数 ・在庫回転数 ・顧客満足度スコア |
店舗運営の効率化や顧客満足度の向上 |
IT業界 | ・プロジェクト完了率 ・バグ修正率 ・システム稼働率 ・ユーザーエンゲージメント率 |
プロジェクトの成功率の向上やサービスの品質の維持 |
飲食業 | ・売上高 ・客単価 ・リピート率 ・フードロス率 |
店舗運営の効率化や収益の最大化 |
上記のように、各業種で適切なKPIを設定し、定期的に評価すると、業績の向上や目標達成に向けた具体的な戦略が取れます。
KPI活用の成功事例
KPIを活用することで、企業は目標達成への道筋を明確にし、効果的な戦略を実行できます。
ここでは、具体的な成功事例を3つ紹介します。
トヨタ自動車
トヨタ自動車は、KPIを効果的に活用している企業の一つです。トヨタが採用するKPIの特徴は、具体的で測定可能な目標設定にあります。 生産ラインの効率を高めるために、1台あたりの生産時間や不良品率など、細かい指標を定めています。細かく指標設定を行い、各工程でのパフォーマンスを詳細に把握すると、改善点を明確にしやすいです。トヨタの成功事例から学べば、KPIの設定と運用が企業の成長に直結します。
サイゼリヤ
サイゼリヤは、日本国内で人気のイタリアンレストランチェーンとして知られています。サイゼリヤでは店舗ごとの売上や客単価、リピート率など具体的な指標を設定し、設定した指標を継続的にモニタリングしています。 サイゼリヤの成功事例は、効果的なKPIの設定と運用が、企業の成長にいかに重要かを示しています。
NTT東日本
NTT東日本は、KPIを効果的に活用して企業の成長を加速させている代表的な企業です。NTT東日本は顧客満足度を重要なKPIとして設定しています。具体的には、顧客からのフィードバックを元にサービス品質の改善を図り顧客満足度を定期的に測定しています。設定したKPIにより、顧客のニーズを迅速に把握し、サービスの質を向上させました。
KPIを適切に活用して、NTT東日本は経営の効率化と企業価値の向上を同時に達成しています。
KPI導入で企業の成長を加速させよう
ここまで、KPIの定義や導入するメリットについて詳しく解説しました。KPIを正しく設定すると、目標達成の進捗状況が可視化されます。
また、 KPIを導入すると社員の評価基準が統一されて公正な評価がしやすくなったり、社員のモチベーション向上につながったり、多くのメリットがあります。KPIを正しく理解して、企業の成長に繋げましょう。
設定したKPIを見やすく図にするには「octpath」が可能なためおすすめです。
投稿者
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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