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2024.07.23

定型化と標準化の違いとは?メリット・デメリットや事例まで徹底解説

定型化と標準化の違い

ビジネスプロセスの効率化や品質管理において、「定型化」「標準化」違いを理解することはとても大切です。しかし、この二つの概念の違いを明確に説明できるでしょうか?ビジネスマンや経営者の中には、この違いが分からず、ビジネスプロセスの効率化に困っているという現状があります。


さらに、この違いが曖昧なままだと業務の効率化が進まず、無駄な作業やミスが増えてしまいます。

本記事を読むことで、定型化と標準化の違いメリット・デメリットを明確にし、ビジネスプロセスの改善に役立てることができます。

この記事でわかること

  • 定型化と標準化の定義と違い
  • ビジネスにおける具体的なメリットとデメリット
  • 定型化と標準化の実施方法のステップ

そもそも定型化とは?

そもそも定型化とは?

定型化とは、業務プロセスや作業手順を一定の形式にまとめることです。簡単に言えば、「いつ」「誰が」作業を行っても同じ結果が得られるようにします。定型化の目的は、業務の一貫性を保ち、業務効率を向上させることです。以下、定型化の例をご覧ください。

定型化の例 内容例
書類の作成手順 特定のフォーマットに従って書類を作成することで、情報の抜けを防ぐ
顧客対応のマニュアル 定型化された対応手順に従うことで、顧客サービスの品質を一定に保つ
業務の自動化 PCでボタン入力もしくは簡単な入力だけにして、定型化された業務を自動化(半自動化)する

このように、定型化は業務の効率化に欠かせません。

定型業務の主な種類の例

定型業務にはいくつかの種類があります。以下に、主な例の一部を挙げます。

定型業務例 内容例
データ入力と処理 顧客情報や売上データの入力、データベースの更新など フォーマットを決めると、反復的に継続して行える
文書作成と管理 報告書や提案書などの規格の統一化、保存など 文書の内容やスタイルを保つことが大切
メールや通信の管理 受信メールの整理、返信、定型的なお知らせや案内の送信など
日常的なコミュニケーションが該当

これらの業務を定型化することで、誰もが明確な手順や規則に基づいて業務が行えます。

そもそも業務標準化とは?

そもそも業務標準化とは?

業務標準化とは、会社内で行われる業務やプロセスを一定の基準や規格で統一し、業務効率化を図ることです。簡単に言えば、どの部門や担当者が行っても同じやり方で業務を遂行できるようにします。 また、業務標準化の目的は業務の効率化や品質の向上・情報の共有化を図ることです。

業務標準化の例 内容例
会議の運営手順 定められた形式で会議を運営し、効率的かつ一貫した意思決定が可能
品質管理プロセス 標準化された手順で、製品やサービスの品質維持と改善
勤怠管理システム 基準に沿った勤怠管理システムを導入による従業員の勤務時間の正確な管理

このように業務標準化は、全体の業務の効率化に欠かせません。

標準業務の主な種類の例

標準業務には主に以下のような種類があります。以下に、例の一部を挙げます。

標準業務例 内容例
品質管理業務 ・製品の品質確保のための定期的な検査と評価の実施
・不良品発生の際の適切な処理と管理レポートの作成
製造業務 ・組み立てた製品が品質基準に適合しているかを検査
・生産目標達成のための生産スケジュールの計画
物流管理業務 ・在庫の適切な管理
・出荷手順・配送の確立と顧客への正確な納品

これらの業務を標準化することで、一貫性のある作業手順に基づいて業務が行われます。

定型化と標準化の違い

定型化と標準化の違い

定型化と標準化の違いは、定型化は局所的な効果を、標準化は全体の効果を狙っているところに違いがあります。以下の表で詳細の比較をしています。ご参考下さい。

定型化 ・特定の業務やタスクを一貫した形式で実行すること
・パターン化により、効率化を図る
標準化 ・組織全体で共通の手順や基準を確立すること
・業務の一貫性と品質の均一化や向上を図る

例えばチームごとに、ある作業の定型化をしたり、組織全体でルールを標準化したりというように使い分けてみましょう。

適用範囲の違い

定型化と標準化は、適用範囲に違いがあります。

定型化 ・特定の業務やプロセスに適用
・ルーティン業務に適し、具体的な手順が明確である場合に効果的
・同じ業務を繰り返す場面で効果的
標準化 ・組織全体に適用
・業務プロセス・品質管理の標準化を通じ一貫性を保ち、効率化を図る
・異なる部門や場所で同じ基準や手順を共有・統一化を図る場面で効果的

定型化は、特定の業務において一貫した手順を確立させて、作業効率を向上できます。これに対して、標準化は異なる部門や場所で同じ基準を共有することで、組織全体の一貫性を高め、品質や効率を一元管理できます。

目的の違い

定型化と標準化における、目的の違いを確認しましょう。

定型化 ・特定の業務やプロセスを効率化
・業務の一貫性と均質性を確保
・ミスやエラーの発生防止
標準化 ・組織全体の業務手順の統一・品質の均一化
・異なる部門や場所での調整が可能
・社外の規制や基準に適合させるのに効果的

定型化は、特定の業務に対して効率化をもたらし、業務の一貫性とエラーの防止を図ります。これに対して、標準化は、組織全体の業務手順を統一し、異なる部門や場所でも同じ基準を適用するので、品質管理と生産性の向上が図れます。

実施方法の違い

定型化と標準化は、実施方法に違いがあります。以下の例をご覧ください。

定型化 ・業務フローの見える化と改善点の特定
・定型業務の手順書やマニュアル作成
・定期的な見直しと改善
標準化 ・社内共通の業務手順書や規定作成を作成し、全社的な業務プロセスの統一
・BPM(Business Process Management)により業務プロセスの最適化
・全体での教育・研修を実施し、標準化の理解の深化

定型化は、特定の業務フローを見える化し、業務効率を向上させます。例えば、定型業務を効率化するためのマニュアル作成や自動化ツールの導入をします。

一方、標準化は全社的な視点から業務の最適化と品質管理を行います。標準化により品質の一貫性を保ち、均一化ができます。

定型化と標準化のメリット・デメリット

定型化と標準化のメリット・デメリット

ここでは、定型化と標準化のメリット・デメリットを解説します。定型化と標準化においてもメリット・デメリットがあります。その両方を理解し、ご自分のビジネスに役立てましょう。それぞれを詳しく解説します。

定型化のメリットやデメリット

定型化のメリットやデメリットは、以下の通りです。

メリット ・仕事の割り振りや人員配置が最適化できる
・ミスや漏れが発生しにくくなる
デメリット ・定型化に時間がかかる
・新たなアイデアが生まれにくくなる

定型化のメリットとして、作業の効率化や管理の向上が期待できます。特に、人員等のリソースの効率的な活用ができ、ミスや漏れが発生しにくくなるため、業務の信頼性が向上します。一方で、定型化には時間がかかるというデメリットがあります。これには、詳細な手順や規定の策定とそれにともなう時間とリソースが必要となるからです。 また、定型化の下では、柔軟な対応が生まれにくくなります。定型化を進める際には、新奇歓迎など柔軟性を失わないように注意することが必要です。

標準化のメリットやデメリット

標準化のメリットやデメリットは、以下の通りです。

メリット ・生産性や品質が向上する
・コスト削減できる可能性がある
デメリット ・緊急な対応が難しくなる
・マニュアル作成に時間がとられる

標準化を進めることで、業務の効率化や品質向上が期待できます。特に、定型化された作業手順により、ミスを低減できます。また、業務コストの削減(社員教育の時間短縮など)もできるでしょう。一方で、標準化された業務プロセスでは、予期せぬ状況への対応が難しくなる場合があります。マニュアル外の対応となり、現場に混乱が生じる可能性があるからです。 このような課題に対処するためには、適切なバランス感覚と柔軟性を持った管理が求められます。

定型化と標準化を実施するための方法

定型化と標準化を実施するための方法

ここでは、定型化と標準化の実施方法を解説します。実施の際には、定型化と標準化の適用範囲を意識してください。

また、適応化と標準化ともにあい通ずる考え方があります。目的を見失わないようにしましょう。

定型化の実施方法

定型化の実施方法は、以下の通りです。

業務の見える化 ・作業手順書を作成する
・フローチャートを作成する
課題の洗い出し ・作業ミスやムダな作業をチェックする
・最適な担当者の配置を検討する
改善方法の検討 ECRSフレームワークを使用すると改善方法の見当が比較的容易になる
試験運用 改善策を試験的に導入し、効果を検証する

ECRSフレームワーク

Eliminate(排除) 不要な作業やプロセスを完全に排除し、効率化を図る
Combine(結合と分離) 複数の作業やプロセスを一つにまとめることで、重複や時間の浪費を減らす
Rearrange(入れ替えと代替) プロセスやリソースの配置を変えることで、効率的な作業の流れを作り出す
Simplify(簡素化) 手順やプロセスを単純化することで、エラーを減らし、作業の迅速化や自動化を促進する
実施方法例 1.業務一覧を作成する(ルーティン業務を洗い出す)
2.時間がかかる業務を突き止める
3.フレームワークにあてはめる

定型化された業務を効率化するためには、まず、業務の見える化・課題の洗い出しを行いましょう。無駄の削減と作業内容の抜け漏れの防止ができます。 さらに、ECRSフレームワークを使って改善策をシステマチックにすると業務プロセスの最適化が図れます。試験運用を通じて効果を検証し、必要に応じて調整をしましょう。

標準化の実施方法

標準化の実施方法は、以下の通りです。

現状の評価と分析 ・現行の業務プロセスや作業フローを評価
・標準化の必要箇所を分析
適用範囲の決定と業務フローの整理 ・標準化を適用する業務領域を決定
・必要に応じて業務フローを統廃合、整理
標準化基準の設定とマニュアル作成 ・標準化するための基準やガイドラインを設定
・作業マニュアルを作成
社内教育とトレーニング ・標準化された新しいプロセスや手順を社内で浸透させるための教育とトレーニングを実施
改善と更新 ・標準化されたプロセスの効果を定期的に評価
・必要に応じた継続的な改善と更新

実際、標準化には、時間と労力がかかります。計画通りに現場が動く場合もあれば、予期しなかった事態も起こり得ます。

トライ&エラーの繰り返しは必須ととらえて、PDCAサイクルをしっかりと回すことを意識し、標準化を成功させましょう。

まとめ

まとめ

本記事では、定型化と標準化の違いと、それぞれのメリット・デメリットについて解説しました。どちらも業務効率化に欠かせない手法ですが、適用範囲や目的、実施方法などに違いがあります。ビジネスプロセスの改善には、定型化と標準化の双方を理解し、適切に使い分けることが重要です。

この記事を参考に、業務の効率化と品質向上に役立ててください。


投稿者

  • デジタルトレンドナビ編集部

    システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。