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2024.07.25

KPIとは?の適切な設定方法や、使い方のポイントについて解説

ビジネスにおける目標を達成するために必要なことのひとつに、正しい指標の設定があります。正しい指標の設定は、チームのやるべきタスクの明確化や、優先順位をつけることが可能になります。また、指標値は、定量的な評価にも繋がり個々人のモチベーションアップや、組織全体としての成績向上にも繋がります。

ただし、そういった設定にはどういった観点の値を設定すればよいのでしょうか。ここでは、指標値の一つである、「KPI」について、設定すべき理由や設定ポイントも解説していきます。

KPIとは?

KPIとは?

KPIとは、「Key Performance Indicator」の略で、日本語では「重要業績評価指標」と言います。

これは、会社や部署が設定した目標をどれだけ達成できているかを測るための具体的な指標のことです。例えば、売上目標を達成するために、月ごとにどれだけの売上が必要か、その売上を達成するために何件の商談が必要か、といった具体的な数字や指標がKPIになります。

KPIは、会社の戦略を実行するためにとても重要な指標ですが、ただ目標があるだけでは、その目標に向けてどれだけ進んでいるのかを知ることができません。

そこでKPIを設定し、定期的にその達成状況を確認することで、目標に対する進捗状況を把握できます。どの部分で問題があるのか、どこを改善すれば良いのかを具体的に見つけることができるようになります。

また、KPIは社員のモチベーションを高める役割もあります。明確な目標が設定され、その達成状況が評価されることで、社員は自分の仕事の成果がどのように会社の成功に貢献しているかを実感することができます。日々の業務に対する意識が高まり、やる気を持って仕事に取り組むことができます。

KPIの設定には、達成可能でありながらも挑戦的な目標を設定することが重要です。あまりに簡単すぎる目標では意味がありませんし、逆に達成不可能な目標では社員のやる気を削いでしまいます。適切なKPIを設定し、定期的に見直すことで、会社全体のパフォーマンスを向上させることができます。

KPIを設定する理由とは

KPIを設定する理由とは

次に、「なぜKPIを設定する必要があるのか?」について理由を5つの観点から解説します。

目標達成の可視化

KPIを設定する主な理由の1つは、目標達成の可視化です。

KPIは、組織やチームが設定した目標に対する進捗状況や成果を定量化し、視覚化するための重要な手段です。KPIを設定することで、目標に向かって進む過程や成果を数値化し、可視化することができます

これにより、チーム全体が目標達成に向けて進捗を把握しやすくなり、進行状況や成果を見える化することが可能となります。目標達成の可視化により、チームメンバーは目標に対する自身の貢献度や課題を把握しやすくなり、適切なアクションを取るための手段となります。また、目標達成の可視化は、組織内外での情報共有や意思決定の補助となり、組織全体の効率性や成果を向上させることに貢献します。

業績の評価

KPIは、組織や個人の業績や成果を定量化し、評価するための基準となります。

KPIによって、業績や成果を数値化することで、客観的な評価基準を確立し、業績を客観的に評価することが可能となります。このため、KPIを設定することで、組織や個人の業績や成果を客観的かつ公平に評価することができます。

KPIを設定することで、目標との関連性や成果との対応関係を明確にすることができ、業績評価の透明性と公平性を高めることができます。さらに、KPIによる業績評価は、組織や個人の目標達成に向けたモチベーション向上や成長を促進し、業績向上に貢献します。業績の評価を通じて、組織や個人が目標に向かって成長し、持続的な成果を生み出すための方向性を示すことができます。

優先順位づけ

KPIは、組織や個人の目標や戦略に沿って設定され、その達成度を測る指標として機能します。優先順位づけを行うことで、重要な目標や成果を特定し、それらに焦点を合わせることができます

KPIを設定することで、組織や個人が設定した目標に集中し、リソースや時間を最も重要な活動に割り当てることが可能となります。現場において人手不足などの課題を抱えているのであれば、この活動は有効と言えます。

また、優先順位づけを行うことで、組織全体が一貫した方向に向かって行動し、目標達成に向けた効果的な取り組みが行われます。

業績や成果を定量化し、比較・評価することも可能となり、組織や個人の業績や成果を優先順位付けし、重要な活動に焦点を合わせることができます。これにより、組織や個人が目標に向かって効果的に行動することができ、成果を最大化することが可能となります。

目標設定の支援

KPIは、組織や個人の目標達成に向けた具体的な指標であり、目標設定のためのプロセスを支援することができるツールでもあります。KPIを設定することで、組織や個人が明確な目標を持ち、それに向かって効果的な行動を取ることができます。

また、目標設定プロセスにおいて重要なガイドとなり、目標達成に向けた方向性や重要な要素を示す役割を果たします。目標設定のプロセスがより効果的に行われ、組織や個人が明確な目標を持つことができることで、目指すべき方針、やるべきことが定まります。

KPIは目標設定プロセスにおいて、目標の具体性や達成可能性を評価するための基準として機能します。これにより、目標設定のプロセスがより客観的かつ効果的に行われることができます。KPIを設定することで、組織や個人が目標に向かって明確な方向性を持ち、目標達成に向けた効果的な行動を取ることができます。

透明性とコミュニケーション

KPIは、組織内外の関係者に対して透明性を提供し、業績や目標達成状況を明確に示す役割を果たします。KPIを設定することで、組織内のメンバーや関係者が共通の目標や基準を理解しやすくなり、業績や成果に対する評価が明確化されます

透明性の向上は、組織内のコミュニケーションを促進し、情報の共有や意思決定の迅速化につながります。

さらに、KPIは目標達成状況や業績の評価基準を明確に示すため、組織内外の関係者とのコミュニケーションを円滑にする役割を果たします。透明性の向上とコミュニケーションの促進は、組織全体の連携や協力を強化し、業績や成果の向上につながるとされています。

KPI設定の6つのポイントとは

KPI設定の6つのポイントとは

明確な定義と説明

KPIは、具体的な業績や目標を測定するための指標であり、その定義と説明が不明確だと目標の達成度や業績の評価が困難になります。定義が明確でないと、それをどのように測定するかや、目標の達成度をどのように判断するかが難しくなります。またその定義は、組織や部門の全ての関係者が理解できるように簡潔かつわかりやすくする必要があります。

では、その定義のために必要なステップについて解説します。 まず目的を明確にし、それがどのような結果や成果を示すかを理解することが重要です。明確な目的がなければ、KPIの定義も曖昧になりがちです。 KPIの意義や目的を説明し、関係者が理解しやすいようにすることも重要です。KPIがなぜ重要であり、それが組織やチームの目標達成にどのように貢献するかを明確にすることで、関係者のモチベーションや理解度を高めることができます。 そして設定する目標数値は具体的で測定可能な指標でなければなりません。具体性がないと、目標達成度を正確に評価することができません。例えば、売上高や顧客満足度など、数値で表せる指標が適しています。

適切な選定

適切なKPIを選定することは、目標の達成度を正確に測定し、業績を向上させる上で非常に重要です。適切なKPIを選定するためには、以下の点に留意する必要があります。

  • 組織のビジョンや戦略に沿ったもの
  • 具体的で測定可能なもの
  • 実行可能でリアルなもの
  • 定期的に見直され、必要に応じて調整

まず、KPIは組織のビジョンや戦略に沿ったものでなければなりません。つまり、KPIは組織の全体目標と一致している必要があります。

次に、KPIは具体的で測定可能なものでなければなりません。これは、KPIが明確な数値や基準で定量的に評価できることに意味があるからです。KPIは関連性があり、ビジネスにとって意義のあるものです。そのため、組織の重要な業績や目標達成に直接関連している必要があります。 また、KPIは実行可能でリアルなものである必要があります。そのため、KPIの設定は組織のリソースや能力、市場の状況に合わせて現実的である必要があり、そのほかにもKPIは可視性が高いものでかつ、全ての関係者が理解しやすいものでなければなりません。

最後に、KPIは定期的に見直され、必要に応じて調整する必要があります。組織の状況や市場の変化に合わせてKPIを柔軟に変更し、常に最適なKPIを選定することが重要です。特に不確実な要素が多い状況であれば、なおこの柔軟さが必要となります。

数値化可能性

KPIは具体的な数値で表現される必要があります。 数値化されたKPIは、目標の進捗状況を客観的に測定し、明確な目標達成度を示すことができます。数値化されたKPIは、目標の達成度を容易に理解できるため、チームや組織全体での目標達成に向けた取り組みを効果的に調整するのに役立ちます。 数値化されたKPIは、データに基づいた意思決定を可能にし、改善の方向性を明確に示すことができます。さらに、数値化されたKPIは、組織内外での比較や競争力の向上を促すための基準としても機能します。数値化可能性のあるKPIを設定するためには、目標が具体的かつ測定可能であることが重要です。

また、適切なデータの収集方法や分析手法を確立し、正確な数値を得るための努力が必要です。数値化可能性のあるKPIは、組織の目標達成に向けた努力を明確に示し、成果を可視化するための貴重なツールとなります。

バランスの取れた設定

KPIで設定した値に偏らず、組織やチームの複数の側面を網羅し、全体的な業績や目標達成のためにはバランスのとれたKPI設定が必須となります。バランスの取れたKPI設定には、いくつか気をつけるべきポイントがあります。

  • 組織や部門の異なる側面を反映する
  • 長期的な成長や持続可能性も考慮する
  • チームの成果や協力も考慮する

まず、KPIは、組織や部門の異なる側面を反映する必要があります。例えば、売上や利益だけでなく、顧客満足度や社内プロセスの効率性など、様々な面をカバーする指標が必要です。 短期的な業績だけでなく、長期的な成長や持続可能性も考慮する必要があります。適切なバランスを取ることで、組織が短期的な成果を追求しつつ、将来の成長や発展を見据えることができます。 個人の業績評価だけでなく、チームの成果や協力も考慮する必要があります。個人の目標とチームの目標が整合し、チーム全体の目標達成に貢献することが重要です。 業務遂行のみならず、その成果や効果も測定する必要があります。業務遂行に集中しすぎると、組織の目標達成につながらない場合もありますので、成果を重視することが重要です。加えて、量的な数値だけでなく、質的な側面も含めることも大切です。例えば、顧客満足度や従業員のエンゲージメントなど、数値で表せない要素も重要な指標として考慮する必要があります。

透明性と共有

これは、KPIが全ての関係者にとって明確で理解しやすく、チーム全体で共有されることを意味します。透明性は、各メンバーが自分の貢献度や業績を理解し、目標に向かって進捗状況を把握できることを保証します。KPIが透明であれば、チームメンバーは自分の役割や目標を明確に把握できるため、仕事に対するモチベーションが高まります。

また、透明性は、信頼関係の構築や協力の促進にも役立ちます。KPIが共有されていれば、チーム全体が目標に向かって協力し、効果的な戦略を立てることができます。

KPIの透明性は、組織内でのコミュニケーションを向上させ、問題解決や改善のための意見交換を促進します。そのため、KPIは定期的に報告され、関係者と共有されるべきです。透明性と共有は、チームの一体感や成果を最大化するために不可欠な要素であり、KPI設定の成功において重要な役割を果たします。

柔軟性と適応性

ビジネス環境は常に変化しており、KPIもそれに適応しなければなりません。 柔軟性を持ったKPIは、変化する状況や新しい目標に対応できるように設計されています。これにより、組織は迅速に対策を講じることができ、変化する環境に適応する能力を維持できます。適応性を持ったKPIは、ビジネスの成長や目標達成に向けた戦略の修正や調整を可能にします。 さらに、柔軟性を持ったKPIは、チームや個人の状況や能力に合わせて調整することができます。これにより、メンバーが自身の目標に対してより効果的に取り組むことができます。柔軟性と適応性を持ったKPIを設定するためには、継続的な評価と改善が必要です。 定期的なレビューやフィードバックを通じてKPIの効果を評価し、必要に応じて調整を行うことが重要です。これにより、組織は変化する状況に迅速に対応し、持続的な成果を生み出すことができます。

まとめ

まとめ

KPI の意味、設定する理由と設定におけるポイントを解説しました。

KPI 指標は戦略目標と直結した数値化された指標です。明確な指標であれば、目指す指針が可視化されチーム一丸となった取り組みへのモチベーションが高まります。

そのほかビジネスシーンにおける目標設定手法には、KPI の他にもさまざまな種類があります。KPI 指標がニーズに合わない場合には、別のフレームワークも試すことも選択肢のひとつとして持っておくことがよいでしょう。

投稿者

  • デジタルトレンドナビ編集部

    システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。