2024.08.20
フローチャートで分岐をどう書く?パターンごとに詳しく解説
「フローチャート内の分岐はどうやって書くの?」「フローチャートで分岐を使うのは、どんなとき?」
こんな悩みをお持ちではありませんか?フローチャートの分岐はひし形の分岐記号を使って表現します。フローチャートの内容によっては2回、3回の分岐を繰り返すこともありますし、分岐ではなく並列やループ表記を使う方が適切なケースもあります。
この記事ではフローチャートで分岐を表現する方法と使いどころを図を使って分かりやすく説明します。
フローチャートは最近ではプログラミングの設計でよく使われますが、この記事ではプログラミング分野には限らず、業務フローや意思決定フローを図式化して説明する際の使い方を紹介します。
この記事を読むことで、フローチャートの分岐表現の使い分けが理解でき、キレイで分かりやすいフローチャートを書くことができます。
なお分岐について知る前に、まずはフローチャートの基本を知りたい場合はこちらの記事にて詳しく紹介しています。
目次
フローチャートの分岐とは?
フローチャートは手順やプロセスの流れを図で示すために使われます。フローチャートの分岐とは、プロセスの流れが特定の条件によって2つ以上の異なる方向に分かれるポイント(点)のことを指します。
ウェブサイトでのログインプロセスを例にあげてみましょう。
『パスワードが正しい場合はAの処理へ』、『パスワードが間違っている場合はBの処理へ』と後に続く手順が2つ以上に分かれる場合は、分岐をつかってルートを分けて書きます。
このようにフローチャートの分岐記号は利用頻度のとても高い記号です。
フローチャートで分岐を使う場面は?
フローチャートの分岐を使う場面には具体的に以下のようなパターンがあります。
- 正誤の分岐:ウェブサイトの入力項目が正しい場合と間違っている場合など
- 選択肢による分岐:支払い方法(クレジットカード、銀行振込、スマホ決済など)
- 数値による分岐:在庫のある、なしなど
- 承認プロセスでの分岐:一定の条件(金額)を超える場合に、上位管理者の承認が必要など
このように業務フロー、カスタマーサービス、社内稟議、ウェブサイト・アプリなどのシステム設計、教育などの幅広い場面でフローチャートの分岐は使われます。
分岐を使うことで、各ステップでの適切な処理が分かりやすく表現できます。
フローチャート 分岐の基本の書き方
フローチャートの分岐を書く手順は分岐地点にひし形の図形を書き、ひし形の下と右の点から矢印を書き、次の処理につなげます。
以下に詳しい方法を順を追って解説します。
1. | 分岐記号であるひし形を書き、その中に分岐条件を書きます。 | |
---|---|---|
2. | 矢印を下と右に書き、次の処理につなげます。 続けて書くとこのようになります。 |
分岐の戻り方(合流)
分岐した後には、一つのプロセスに戻らなくてはなりません。以下のように線上に線をつなげ、元の流れに戻します。
フローチャート 分岐の種類
フローチャートの分岐は、処理の内容と数によってさまざまな使い分けがあります。
2分岐
2分岐はシンプルな分岐です。正か誤、YesかNo、以上か以下などの2択で処理パターンが変わる場合に使われます。
3分岐
3分岐は分岐条件が3つに同等に並んでいるときに利用します。
図の書き方は、処理のあとに判断記号であるひし形を書き、その右、左、下の3点からそれぞれ矢印を書いて、各処理に繋げます。
この書き方は、具体的に以下のような事例で使うことができます。
- 業務:イベントの参加希望をメールにて集める
- 判断:イベントの参加希望
条件 | 処理 |
---|---|
①参加する | 予約確定のメッセージを送信 |
②参加しない | 不参加の理由アンケートを送信し、今後のイベント関連の通知を停止 |
③未定 | 3日ごとにリマインドメールを自動配信 |
4分岐以上
4つ以上の同列の条件がある場合は、以下のように書くことができます。
横に、処理数を増やせば、条件は上限なく増やせます。
分岐の分岐(再分岐)
3つ以上の分岐をする場合には、再分岐を使って書くこともできます。
この方法は、条件がすべて同列ではなく、分岐した後にさらにもう一度判断が入る場合に使います。
図は以下の手順で書くことができます。
①処理の後にひし形を挿入し、右と下に矢印を書く。
②条件1をしめす下向きの矢印と、その先に四角形を書き、処理Aを入れる
③条件2をしめす右向きの矢印と、その先にもう一度ひし形を書く
④2つ面のひし形からさらに右と下に分岐する
この書き方は、具体的に以下のような事例で使うことができます。
- 業務:Eコマースサイトの会員ログインのフロー
判断①:現在メールアドレスが登録されているか
条件 | 処理 |
---|---|
①メール登録あり | A:ログインし、ショッピングページへ |
②メール登録なし | 判断2へ |
判断②:過去にメールアドレスが登録されていたか
条件 | 処理 |
---|---|
②-1過去に登録済み | 過去のメールアドレスを利用し、アカウントの再開始の通知を送信する |
②-2初めての登録 | 新規情報登録ページへ |
再分岐は、論理的には以下のように何度も繰り返すことが可能です。しかし業務フローの図としては、左に分岐が長くなっていき、フローが追いづらくなります。
再分岐を繰り返すときには、本当にその方法での説明が必要なのか、他に分かりやすい書き方はないのかを比較検討しながら利用するとよいでしょう。
繰り返し(ループ)
条件分岐があるように思えるケースでも、分岐記号を使わず代わりに繰り返し(ループ)で表現できる場合があります。
以下の図では、ループと分岐のそれぞれの表現を使っていますが、業務フローの内容は同じです。
ループを使うと少ない図形でフローを端的に表現できます。一方で、フロー中の判断が重要な要素である場合には、ループを使って省略するのではなく、分岐記号を使った方がよいでしょう。
フローチャートの繰り返し(ループ)についてはこちらの記事でさらに詳しく説明しています。
並列
フローチャートの分岐と似た表現に、並列処理があり、表現が似ているため、混同される事があります。
分岐は、特定の条件に従って処理が2種類以上のパターンに分かれる作業のことです。対して並列処理が完全に独立していて、同時に実行可能な場合に使われます。
並行処理は以下の図で表現します。
並列は、具体的に以下のような事例で使うことができます。
- 業務:契約時のクライアントとのやり取りフロー
処理A | 提案書の作成(企画部) |
---|---|
処理B | 契約書の確認(法務部) |
処理C | 入金方法の設定(経理部) |
分岐との違いは、条件によって処理が変わるのではなく、常に3つの処理が発生し、同時並行のタイミングですすめられることだと覚えておきましょう。
フローチャートの並列については、こちらの記事でさらに詳しく説明しています。
フローチャートの分岐を省略する
ここまで紹介をしたようにフローチャート内に分岐を入れると、フローチャート全体が長くなり、視覚的にも複雑になります。そのため細かすぎる条件分岐をフローチャート内に入れることはおすすめしません。
省略できる分岐には具体的に以下のようなものがあります。
- セルフチェックなどのフローとして紹介する必要性が低い処理・条件
- 分岐ではなく繰り返し(ループ)ている処理
ツールを使ってフローチャートの分岐を書く方法
一般的にフローチャートをつくるツールには大きく2つの種類があります。
①Wordなどの書類作成ツール
Word(Googleドキュメント)、Excel(Googleスプレッドシート)、Power Point(Googleスライド)内の図形ツールと矢印ツールを組み合わせることでフローチャートを作ることが可能です。
この方法のメリットはフローチャートのために専用のツールを用意する必要がないことです。ただし大きなデメリットとして図形を組み合わせたり、位置やサイズを調整したりするのに手間がかかり、見やすくきれいなフローチャートを作るのが難しい点があげられます。
②オンラインツール
XmindやMiroなどのマインドマップ作成ツール、またCanvaなどのデザイン専用ツールにもフローチャートを作成できる機能がついています。ただし、フローチャートの専用ツールではないため、必要な図形や機能が手早く呼び出せなかったり、調整ができなかったりと使いづらさを感じるかもしれません。
対してdraw.ioやlucidchartのようなフローチャート作成専用のツールもあります。これらのツールはプログラミングやシステム開発等で複雑なフローチャートを作成したい場合におススメです。
こちらの記事でもフローチャート作成ツールについて詳しく紹介しています。
フロー図を使用した業務管理ツール
業務管理のためにフローチャートを作りたいのなら、進捗管理やマニュアルと連携し一元化のできる専用ツールoctpathがおすすめです!
フローに沿って作業を進めるだけで、あらゆる業務のミスや抜け漏れ、属人化を防止できます。さらに複雑な業務フローが分かりやすく見えるようになり業務効率をUPし、業務改善を手助けします。
フローチャートの分岐を使いこなそう
この記事ではフローチャート内で分岐を表現したいときの詳しい書き方や具体的な利用シーンを紹介しました。
複数分岐など複雑な分岐構造になる場合は、ループで表現をしたり省略を検討することも重要です。フローチャートではもともと分かりづらい行程を、誰にでも見やすいように整理するためのものなので、効果的な使い方を意識してみましょう。
また業務フローの作成で利用する場合は、専用のツールを使うのがおすすめです。
本サイトには、フローチャートについての記事が多数掲載されていますので、ぜひ参考にしてみてください。
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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