2024.05.22
業務設計とは?目的や具体的な進め方やフレームワーク5つを紹介
「業務設計って聞いたことあるけど、実際はどういうもの?」
「業務設計するには、具体的にどうすればいいのかわからない」
このような悩みはありませんでしょうか。
業務設計とは、業務の流れを整理して最適化するように計画を立てることです。業務設計を行うと、業務内容の無駄を削除でき、コスト削減が可能です。
この記事では 業務設計の目的や具体的な進め方、業務設計に役立つフレームワーク5選を紹介します。本記事を読み、業務設計を理解して、業務改善の参考にしてください。
目次
業務設計とは
業務設計とは、企業や組織が日々の業務を効率的に進めるための計画を立てるプロセスです。業務の流れや手順を明確にし、無駄を省いて生産性を高めることを目指します。
業務設計を行うと、従業員がどのように動けば最も効果的かが可視化され、全体のパフォーマンス向上につながります。
業務設計の目的
業務設計では、具体的に以下の3つの目的があります。
- 業務効率の向上:業務の流れや手順を見直し、無駄な作業をカットします。作業のカットにより、作業時間の短縮やコストの削減が実現し、生産性が向上します。
- 品質の安定化:業務設計により、業務プロセスをマニュアル化します。マニュアル化された手順を守ることで、業務の質が一定に保たれ、顧客満足度が向上が可能です。
- 柔軟な対応力の強化:業務設計により、業務全体の把握が可能です。業務全体を理解すると、環境の変化や新たな課題に対して柔軟かつ迅速に対応する力が強化されます。
3つの目的を達成することで、企業は効率的かつ安定した業務運営が可能となり、競争力を高めることができます。
業務設計の重要なポイント
業務設計を行う際には、2つポイントを押さえることが成功の鍵となります。
まず、現場の声を反映することが大切です。実際に業務を行う従業員の意見やフィードバックを取り入れると、効果的な設計が可能になります。
次に、目標を明確にすることです。業務設計の目的やゴールを明確に設定すると、どのような結果を目指すべきかが全員に伝わりやすくなります。目的やゴールを明確にすると、全員が同じ方向を向いて業務が可能です。
「業務設計」と「運用設計」の違い
「業務設計」と「運用設計」は、ともに企業活動において重要な役割を果たしますが、それぞれの目的や内容は異なります。
業務設計は、業務プロセスを効率化し、生産性を向上させるための計画や改善策を考えることを指します。
一方、運用設計は、設計された業務プロセスを実際に実行し、日々の業務がスムーズに行われてるか管理や調整を行うことです。
業務設計と運用設計の違いを理解すると、より効果的な業務運営が可能です。
業務設計を見直すポイント
ここでは、業務設計を見直す際に、気を付けるべきポイントを解説します。踏まえるポイントは以下の2点です。見直すポイントを理解すると、どこが改善すべき作業手順か把握しやすくなります。
属人化した非効率な業務の流れを可視化・改善する
組織全体の効率が低下するのは、属人化した非効率な業務が原因です。属人化した業務を改善するためには、業務の流れを可視化するのが重要です。可視化すると、どの業務が個人に依存しているのか、どのプロセスが無駄になっているのかを明確に把握できます。
業務の流れを可視化したら、改善点を洗い出し、効率的な業務フローを設計します。設計する際、業務の自動化やツールの導入も検討すると良いでしょう。最終的には、関係者全員が理解しやすい形で新しい業務フローを共有し、適切なトレーニングを行うと属人化から脱却し、生産性を向上できます。
エラーやイレギュラーに対する対策を行う
業務の中でエラーやイレギュラーが発生すると、作業の遅延や品質の低下につながります。そのため、エラーやイレギュラーに対する対策は重要です。
最初の対策として、エラーやイレギュラーが発生しやすいポイントの特定が必要です。例えば、データ入力のミスや機器の故障など、具体的な問題点を洗い出します。
次に、発生したエラーやイレギュラーの記録を徹底するのが大切です。エラーやイレギュラーを記録すると、問題の再発防止策を立てるためのデータが蓄積されます。記録する際はデジタルツールを活用すると効率的です。例えば、エラーログやチェックリストを利用することで、リアルタイムに問題を追跡できます。
5ステップでできる業務設計の進め方
業務設計は、効率的なビジネスプロセスを構築するための重要な作業です。以下の5ステップで進めることで、業務設計をスムーズに行えます。
上記の5ステップを繰り返すと、業務プロセスを常に最適化できます。
1.現場への情報収集
業務設計の進め方ステップ1は、現場への情報収集をして、問題を明確することです。
現場の実態の把握は、改善点を見つけ出すために重要です。
具体的には、現場のスタッフにインタビューを行ったり、業務の流れを観察したりすると、日常の業務プロセスや発生している問題を明らかにします。
情報収集する際は、各部門や担当者がどのような業務を行っているのかを詳細に把握しましょう。業務を把握すると、業務フローの図解を作成する際にも役立ちます。また、現場の意見を収集することで、現実的で実行可能な業務設計を行うための貴重なデータが得られます。
情報収集は時間と労力がかかる作業ですが、情報収集で得られた知見が今後の業務設計の成功に貢献できるため、丁寧にかつ徹底に行いましょう。
2.改善点の洗い出し
業務設計の進め方ステップ2は、情報収集した情報をもとに、改善点を見つけ出すことです。現場で行われている業務プロセスを詳細に確認すると、無駄や非効率な部分を見つけ出せます。
例えば、同じ情報を何度も入力する手間がかかっている、重要なデータが複数のシステムに分散している、などの問題点を洗い出します。問題点の洗い出しにより、どの業務が時間やリソースを無駄にしているのかが発見可能です。
このように、改善点の洗い出しは、業務プロセスを見直し、効率化するための重要なステップです。綿密な分析と優先順位付けを行うと、より効果的な業務設計が実現できます。
3.業務設計の作成
業務設計の進め方ステップ3は、洗い出した改善点をもとに、実際に業務設計を作成することです。
業務設計の作成は、効果的なビジネスプロセスを構築するために重要です。
まず、現場から収集した情報と改善点をもとに、現状の業務フローを詳細にマッピングします。マッピングする段階で、各業務の具体的な手順や責任者、必要なリソースを明確にするのが重要です。
次に、改善点を反映した新しい業務フローを設計します。再設計する際は、効率化やエラー防止のための工夫を取り入れ、業務の流れをスムーズにすることが大切です。また、新しい業務フローを実現するためのツールやシステムの導入も検討します。
このようにして、明確で効率的な業務設計を作成することで、企業全体の生産性向上とミスの削減を目指します。
4.実行
業務設計の進め方ステップ4は、業務設計した業務を実際に実行することです。
設計したプロセスを現場で実際に運用し、計画通りに進行するかを確認します。 まず、関係者全員に新しい業務フローや手順を周知し、適切なトレーニングを行うのが重要です。周りに周知させてトレーニングを行うと、混乱や誤解を最小限に抑え、スムーズな導入を実現できます。
実行時には、設定した目標やKPIに基づき、進捗状況を定期的にモニタリングします。定期的にモニタリングすると、どの部分が計画通りに進んでいるか、またどの部分が問題を抱えているかを迅速に把握が可能です。問題が発生した場合は、速やかに対応が必要です。
5.振り返り
業務設計の進め方ステップ5は、実際に運用したプロセスに問題ないか振り返りを行うことです。
振り返りを行うと、業務設計の効果や改善点を把握し、次のサイクルに活かせます。
まず、実行段階で得たデータやフィードバックを整理します。業務の流れや成果を見直し、計画通りに進行したかを確認しましょう。次に、問題点や改善点を洗い出し、具体的な解決策を検討します。
振り返りの際には、関係者全員が意見を共有できる場を設けるのが重要です。現場の声を反映すると、より実効性の高い業務設計が可能です。
また、振り返りを定期的に行うと、継続的な改善が期待できます。振り返りを繰り返すことで、業務の効率化や品質向上が実現し、企業全体のパフォーマンス向上に繋がります。振り返りは、業務設計を成功に導くための重要なステップです。
業務設計する際に役立つフレームワーク5選
業務設計を進める際に役立つフレームワークを活用すると、効率的で効果的なプロセス改善が可能です。ここでは、特におすすめの5つのフレームワークを紹介します。5つのフレームワークを取り入れて、業務設計をスムーズに進めましょう。
ECRS(イクルス)
ECRS(イクルス)とは、業務の効率化を図るためのフレームワークの一つです。
ECRSは
- Eliminate(排除)
- Combine(結合)
- Rearrange(再配置)
- Simplify(簡素化)
上記の4つの要素で構成されています。4つの要素を順番に検討すると、業務の無駄を省き、効率的なプロセスの設計が可能です。
Eliminate(排除) | 不要な業務やステップを取り除くことを目指しましょう。 |
---|---|
Combine(結合) | 似たような業務やプロセスをまとめて行うと効率が上がります。 |
Rearrange(再配置) | 業務の順序を見直し、よりスムーズな流れを作ります。 |
Simplify(簡素化 | 複雑なプロセスをシンプルにし、誰でも簡単に理解できるようにしましょう。 |
ECRSを取り入れて業務設計をすると、業務の無駄を徹底的に排除し、よりスムーズで効率的な業務が実現します。
PDCAサイクル
PDCAサイクルは、業務の改善を効率的に進めるための基本的な手法です。
PDCAは
- Plan(計画)
- Do(実行)
- Check(評価)
- Act(改善)
上の4つのステップから成り立っています。
Plan(計画) | PDCAサイクルは頭文字の順番通りに、目標を設定し、達成するための計画を立てます。 |
---|---|
Do(実行) | 計画に基づいて実際に行動を起こしましょう。 |
Check(評価) | 行動の結果を評価します。 |
Act(改善) | 必要に応じて改善策を講じます。 |
4つのサイクルを行うと、業務の品質を継続的に向上できます。
PDCAサイクルのメリットは、シンプルさと適用範囲の広さです。どんな業務でもこのサイクルを導入すると、問題点を見つけ出し、効率よく改善が可能です。
PECAサイクルを用いていると、業務設計を行った後の振り返りに役立ちます。
ロジックツリー(決定木分析)
ロジックツリー(決定木分析)は、複雑な問題を整理し、解決策を見つけるための有効なツールです。ロジックツリーとは、問題を大きな要素に分解し、分解した問題の要素をさらに細分化していくことで、問題の全体像を把握しやすくする方法です。
ロジックツリーを使う際は、最初に問題を明確に定義し、根本的な原因を洗い出しましょう。次に、その原因をさらに細かく分析し、具体的な改善策を見つけます。このプロセスを繰り返すと、問題の本質に迫り、効率的な解決策を発見できます。
利点として、問題の全体像を視覚的に理解しやすくする点です。問題を視覚化すると、チーム全体で問題を共有し、一致団結して解決策を発見できます。業務設計においても、ロジックツリーを活用すると、業務フローの中で発生する問題点を明確にし、効果的な改善策を導き出せます。
KPT
KPTとは、業務改善やプロジェクトの振り返りに活用されるフレームワークです。
KPTは
- Keep(続けること)
- Problem(問題点)
- Try(試すこと)
3つの頭文字を取ったもので、それぞれの要素に分けて振り返りを行います。
Keep(続けること) | Keepでうまくいったことを確認します。 |
---|---|
Problem(問題点) | うまくいかなかったことを洗い出します。 |
Try(試すこと) | 次回試してみたい新しいアイデアや方法を考える。 |
メリットは、誰でも簡単に始められる点です。チームで話し合うと、メンバー全員が改善点を共有し、共通のゴールに向かって進みます。また、KPTを定期的に実施すると、業務の継続的な改善が可能です。
業務設計に取り入れる際は、振り返りや課題分析に使用します。
バリューチェーン分析
バリューチェーン分析は、企業の活動を細かく分解し、活動ごとにどれだけ価値を生み出しているかを評価するフレームワークです。
バリューチェーン分析を使うと、部分ごとにコストや利益を生み出しているのかが把握可能です。
バリューチェーンは主活動と支援活動の2つに分かれています。主活動には、製品やサービスの製造から販売までのプロセスが含まれ、支援活動には人事や技術開発などの企業運営をサポートする活動が含まれます。
業務設計を行う際は、バリューチェーン分析を使って業務の優先順位付けに活用しましょう。
コンサルタントに業務設計を依頼する方法
会社で業務設計が難しい場合、コンサルタントに依頼するのも有効な手です。
コンサルタントに業務設計を依頼する方法は簡単で、以下の流れです。
- 自社の課題や目標を明確にする
- 明確にした課題や目標をコンサルタントに共有
- 専門分野や実績を確認して、適切なコンサルタントを選択
- 具体的な業務の流れや改善点を話し合う
業務設計だけでなく、契約内容や費用についても、事前の確認が大切です。適切なコンサルタントのサポートで、効率的な業務設計を実現しましょう。
フレームワークも取り入れて効率的に業務設計をしよう!
ここまで、業務設計の目的や具体的な進め方、業務設計に役立つフレームワーク5選を紹介しました。
業務設計とは、属人化した業務やミスやエラーが発生する業務の流れを可視化して、再設計により解消するための計画を立てることです。問題の業務を解決すると、無駄がなくなり、商品やサービスの品質向上につながります。
ただし、業務設計は行って終わりではありません。業務内容は日々変化していき、業務設計の内容と合わなくなり、再び設計しなければなりません。
業務設計は定期的に見直しが必要だと理解して、会社の業務改善に役立てましょう。
投稿者
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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