2024.11.19
BPMNを実践で活用する方法と使えるツール8選
「BPMNとは一体何か?」「BPMNを活用するメリットは?」「実際のBPMNの使い方を理解したい」
BPMNとは、「Business Process Model and Notation:業務プロセスモデリング表記法」のことです。分かりやすく言えば、「プロジェクトや業務について初めから終わりまでの工程や手順を図を用いて表現するフローチャートツール」です。
日々のビジネスで、「何をどこまでやるべきか」と悩んでいる間に、頭の中がごちゃごちゃになってしまう事はありませんか?
そうなると、過度なストレスや余計なリソースをかけてしまうことになり、プロジェクトの遅延や失敗につながりかねません。
そこで、BPMNを活用すれば、業務のプロセスを可視化でき、スッキリと全体像を見通すことが可能です。
この記事でわかること
- BPMNとは?
- BPMNの作成手順
- BPMNのおすすめツール
BPMNを十分に活用して、業務を効率的に回していきましょう。
BPMNとは
プロジェクトや業務について、始まりから終わりまでのプロセスを図式化する手法です。
BPMNは誰が見てもわかる「共通言語」と言えます。
BPMNはビジネスパーソンが理解しやすく、システムやアプリ開発者に対して必要な事項を伝える事を可能にした「業務プロセスの効率アップ」ツールです。
またソフトウエア標準化コンソーシアムであるObject Management Groupによって維持されている、 ISO/IEC 19510の国際基準となっています。
業務の全体像を可視化する
BPMNを活用すれば、これから実施するプロジェクトや業務の流れを可視化して把握できます。
可視化するためには、BPMNで決められている「図形」や「フローチャート」を使って進めていきましょう。
業務改善を図れる
BPMNを活用すれば、「なにをどこでどうするか」という業務プロセスが一目でわかります。
そこで、現在課題がある業務について、その原因がはっきりしない時はBPMNに落とし込んでみます。
すると、業務全体が可視化されるので、「どこでなにが起こっているか」を把握できます。
違和感のあるところを見つけ、修正をすることで、業務改善が可能です。
BPMN2.0について
Object Management Groupが発表している最新のBPMNのバージョンを「BPMN2.0」と言います。(2024年4月現在)
これまでのBPMNでは、業務プロセスの大枠を「みえる化」でき、そのプロセスの意味付けをする「分析」を重要視していました。
一方でBPMN2.0は、新たに図形や属性が導入され、アップデートされています。
これまでに無かったデータに対するより細かい設定やフロー図それぞれの拡張機能が追加されました。
BPMNを利用する理由
プロジェクトを進める上でBPMNを利用するメリットは多くあります。
ここからは、以下の項目を説明します。
- 業務が効率化される
- コミュニケーションが簡略化される
- 可視化によるメリットが大きい(属人化防止)
- BPMNのデメリット
それでは、ひとつずつ見ていきましょう。
業務が効率化される
毎回、「何をすべきかどこに確認すればいいか」「どこまでが担当範囲なのか」などをプロジェクトリーダーに確認するのは非効率です。
そこでBPMNを活用し、複雑なビジネスプロセスを簡単な図形を用いたフローチャートで可視化することによって、メンバーが業務の手順を楽に把握できます。
コミュニケーションが簡略化される
可視化された業務のフローチャートを見て、一緒に仕事に携わるメンバーとの意思疎通が図りやすくなり、業務を円滑に進めることが可能になります。
BPMNを活用することによって、プロジェクトに関わるメンバー全員が業務全体を把握できるので、各メンバーが意見を出し合ったり、疑問点を質問しあったりとコミュニケーションの簡略化だけでなく活性化も期待できます。
可視化によるメリットが大きい(属人化防止)
BPMNは使用する記号などが規則的に決定されていて、誰でも簡単にフローチャートを作成可能です。また、可視化することで、業務内容の全体を理解しやすくなります。
BPMNを活用することで業務の中心に関わる人物だけではなく、関係者も業務の理解がし易くなり、属人化を防ぐことができます。
BPMNのデメリット
BPMNを活用し始める時、準備が大変になる場合があります。
特に、多くの関係者や複数の部署横断的なプロジェクトを開始する場合は、フローチャートの項目を決めるうえで煩雑になることが予想されます。
したがって、あらかじめフローチャートに記載する情報をしっかりとまとめておく必要があります。
BPMNのフローチャートが完成した後に、業務プロセスがしっかり可視化できるという事を考えれば、下準備はとても大切と言えるでしょう。
BPMNの作成手順
BPMNを作成するために、特定の記号やルールを理解する必要があります。
実際に、BPMNを作成する手順を以下の順番で見ていきましょう。
- 目的やゴールを明確化する
- 業務情報やタスクを徹底的に洗い出す
- 情報を整理する
- メンバーと打ち合わせをする
ひとつずつ解説していきます。
目的やゴールの明確化する
さまざまな手法に共通しますが、BPMNを活用する上でも、「目標」や「ゴール」の設定は重要です。
目標やゴールを決めておかないと、どのようなフロー図を用いて作成するのかわからなかったり、取り組むメンバーとの共有ができない可能性があります。
したがって、作業内容をただ闇雲に決めるのではなく、プロジェクトの参加メンバーが理解できる「スタート地点」と「ゴール地点」をしっかりと設定しておきましょう。
業務情報やタスクを徹底的に洗い出す
BPMNは「フロー図」と言われる特定の図形や構成に従って作成していきます。
うまくBPMNの構成を作るためには、これから開始するプロジェクトに関連する情報とフロー図を結びつける必要があります。
そこで、対象のプロジェクトを開始するにあたって、どのような情報が必要かしっかりと洗い出しておきましょう。
例えば、以下の様な項目があげられます。
- 今回のプロジェクトの目的は何か
- 目標達成したら何が起こるのか
- どの部署やメンバーが関わるのか
- いつからいつまでに完了させるべきか
- コストはどのくらいかかるのか
必要な情報を抽出するのは時間がかかる作業かもしれません。
例えば、プロジェクトに参加する部署や関係者にヒアリングをして、「やるべきこと」「準備すべきこと」をはっきりさせておくということに時間を掛ける必要があります。
これらのことを明確にしなければ「目標」までに取り組むべきことが分からなくなります。
つまり、情報を徹底的に洗い出しておかなければBPMNを最大限活用できない可能性もありますので、準備は怠らないよう心がけましょう。
情報を整理する
プロジェクトに必要な情報を徹底的に洗い出した後は、出てきた情報を整理することが肝心です。
情報は適当にBPMNに組み込むのではなく、「スタート地点の情報」と「ゴール地点の情報」を設定したあと、順序良く適切な場所に、抽出してきた情報をはめていく必要があります。
「いつまでに、だれが、なにをやるのか」がフロー図で明確に示される必要があります。
これによって、参加メンバーが自分自身何をすればいいのか、しっかりと役割と作業内容を把握できます。
まずは一度、大まかに情報を整理し、全体を見渡しながら少しずつ調整していきましょう。
メンバーとの打ち合わせをする
情報が出そろい、それらの情報の整理ができたら、プロジェクトに参加するメンバーとの打ち合わせをしましょう。
各メンバーが今回のBPMNの構成を見て、皆の認識が合っているか確認することは重要事項の一つです。
対象のプロジェクトに協力してくれるメンバー全員が、BPMNを理解し、それぞれの作業に着手できるようにしておく必要があります。
BPMNはフロー図の表記方法に明確なルールがあるので、次項より解説していきます。
BPMNの表記方法
BPMNで実際に使う主な記号を紹介します。
ここでは、以下の表記方法を解説しています。
それでは、実際の記号を見ながらひとつずつ確認しましょう。
イベント
イベントの記号はBPMNの「頭」と「おなか」と「お尻」です。
つまり、業務プロセスの「始め」と「終わり」を明らかにする記号です。
それぞれ円で表現されていますが、通常の円である「開始」に対して、「中間」は二重円、「終了」は太い円で表現されています。
アクティビティ
実際の業務内容を示す記号です。
アクティビティの記号には、「タスク」とさらに細分化された「サブプロセス」があります。
記号の中に、業務内容を入力して、適切な場所に置いて使用します。
ゲートウェイ
フロー図の中で、進めるタスクによっては、選択肢が出てきます。
その分岐点で使用するのがゲートウェイという記号です。
「YES」または「NO」で、いずれかひとつを選択するときに使用する「条件分岐」や、示されたタスクを同時に着手する「並行処理」という記号があります。
フローオブジェクト(3種類のライン)
タスクや分岐などを結びつける矢印の記号をフローオブジェクトと言います。
「シーケンスフロー」はタスクやサブプロセスなどの「アクテビティ」の順番や流れを示します。
矢印の直線で表現する決まりです。
「メッセージフロー」は以下に説明をするプールを横断する際に使用します。
例えば「人事部から営業部にタスクをつなげる」と言った部署間をまたぐ内容のフロー図を作成する場合です。開始点に丸、終点には矢印のついている破線で表現されます。
「関連」はイベントやアクティビティ、ゲートウェイなどと結びつける際に使用する点線です。
プール&スイムレーン
BPMNを作成する上で必須です。
プール&スイムレーンはフロー図を書き込むキャンバスのようなものです。
本物のプールのように、レーンを分けており、このレーンにプロジェクトに関連するメンバーや部署などを入れます。
レーンに分けることで、関連するメンバーや部署それぞれ「何を担当すべきか」「いつ着手すべきか」「どの部署(またはメンバー)との連携が必要か」などが明確になり、プロジェクト参加者が増えた時に、とても分かりやすくなります。
データオブジェクト
データオブジェクトは1つのプール内で行われているプロジェクト参加者の間で、やりとりされる書類やデータを表現しています。
データの種類によって、記号もさまざま存在します。
また、BPMN2.0からは「データストア」という記号が出てきました。
データストアはその名の通り、データをためておく場所です。
このデータストアは1つのプールに限定せず、他のプールでも使用が可能です。
グループ
グループはフローに関わらず、各アクティビティをグループ化したい場所で使用します。
グループは単純なグループ分けに活用し、フロー図自体を変化させるわけではありません。
また、この記号は角が丸くなった一点鎖線の長方形で表現されます。
注釈
注釈は対象のフロー図について追加の説明事項を記載できます。
これによって、細かい点などBPMNを共有するメンバーがより簡単に理解可能です。
BPMNのオススメツール8選
BPMNに利用できる専門のツールを使って、しっかりとしたフロー図を作成しましょう。
ここからは、オススメのツールを以下8つ紹介します。
1つずつ特徴などを見ていきましょう。
octpath
特徴 | ・作業に合わせたマニュアル表示で簡単に作業可能 ・作業の手順を自動で分岐 ・作業結果を自動でチェック ・担当者設定が簡単 ・メンバー忙しさを可視化 |
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コスト | 30,000円/月~(15日間無料l2024年4月現在) |
URL | https://octpath.com |
高性能なBPMNツールを提供しています。
サポートが充実しており、「効果の検証」「利用方法のレクチャー」「セットアップ支援」など安心感があります。
30,000円からの月額ですが、あらゆる制限なしに全ての機能を利用できるのはメリットです。
EdrawMax
特徴 | ・豊富な事例とテンプレート ・作図・製図業務に特化したオールインワン・ドローイングソフトウェア ・膨大な素材 ・AIを駆使してワンクリックで図表作成可能 ・対応する端末が充実(windows, Mac, Linux, Webなど) |
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コスト | 永続ライセンス19,600円/月~(無料版ありl2024年4月現在) |
URL | https://www.edrawsoft.com/jp |
Wondershare Group子会社、Edraw社が提供する作図・製図ツールです。
数多くのテンプレートや素材が用意されており、利用ライセンスも年間契約の物から永続ライセンスまで幅広く選択可能です。
Lucidchart
特徴 | ・資料作成、情報共有、業務フロー可視化を一貫して行える ・ChatGPTプラグインやAIプロンプトフローで自動作図可能 ・外部アプリとの連携が可能 ・操作が簡単 |
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コスト | 1,175円~(無料版や他のツールとの組み合わせ割引ありl2024年4月現在) |
URL | https://lucid.co/ja |
クラウドベースのサービスを展開しています。
作図は直感的な操作で気軽にフロー図の作成が可能です。
また、チームメンバーでの同時作業や共有もできます。
海外サイトですが、サービスのラーニングキャンパスやチュートリアルなど学習の場が用意されています。
pipefy
特徴 | ・技術者以外の使用者がサポート無しでフロー図を作成可能 ・ユーザーフレンドリーな操作性 ・カスタマーサービスの充実 ・モディファイが容易 ・AIがカスタムプロセスを作成してくれる |
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コスト | 20ドル(約3090円)/月~(無料版ありl2024年4月現在) |
URL | https://www.pipefy.com/ |
Process Street
特徴 | ・簡単かつ迅速にスタート可能 ・問い合わせのレスポンスタイムが平均5分と迅速 ・充実したテンプレート ・AIを活用したワークフローをデザイン可能 |
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コスト | 100ドル(約15,460円)/月~(プロプランは14日間無料トライアルありl2024年4月現在) |
URL | https://www.process.st/ |
とてもシンプルにスタートできるツールです。
また、AIを駆使したワークフロー作成により、プロジェクト中のエラー項目をミニマムに押さえることが可能で、立ち上がってくるタスクを自動化して、人の手を動かす時間的コストを削減できます。
日本語版は無いので、英語が苦手な人は慣れるまで少し時間がかかるかもしれません。
Ranabase
特徴 | ・直感的な操作性 ・フロー図に入力した業務を一覧化できダウンロードも可能 ・情報の棚卸が容易でプロジェクトの改善活動に使用しやすい ・「気づき」を書き込める付箋機能が便利 |
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コスト | 1,200円/月~(30日間無料l2024年4月現在) |
URL | https://lp.ranabase.com/ |
ドラッグ&ドロップで簡単なフロー作成が魅力です。
業務プロセスの可視化はもちろん、これらに関しての「気づき」を集め、さらなる課題ン設定や、対象事項の分析が可能で、業務改善~システム設計や開発に至る一連の流れを実現できるツールです。
「カエル塾」という独自のコラムで関連事項の学習ができるメリットもあります。
Questetra
特徴 | ・ブラウザー上で完結できるシステム ・利用するメンバーは「マイタスク」機能から割り当てられた仕事をすぐに確認可能 ・どのタスクに誰がどのくらいの所要時間がかかって処理したかなど細かくチェックできる ・案件に紐づけ可能なチャット機能が標準装備されている |
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コスト | 1,200円/月~(無料トライアルあり|2024年4月現在) |
URL | https://questetra.com/ja/ |
ノーコードのドラッグ&ドロップで利用できる、使いやすいツールです。
ブラウザ上で完結するので、ソフトウエアのダウンロードが必要ありません。
「たけお君の業務フロー改善ものがたり」という漫画で、業務フロー図や専門用語の説明など分かりやすく解説しているところがユニークと言えます。
導入事例も国内有名企業が多数で、分野も幅広いところが特徴です。
kissflow
特徴 | ・160カ国、1万社以上の導入実績 ・同一のプラットフォームでさまざまなプロジェクトを作成可能 ・ノーコードのワークフローで迅速 ・直感的な操作が可能 |
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コスト | 1,500ドル(約231,900円)/月~(2024年4月現在) |
URL | https://kissflow.com/ |
世界各国の有名企業も導入している実績のあるツールです。
見やすいビジュアルと簡単な操作性が人気の様です。
KissFlowはノーコードツールを使用していて、直感的に使えるので、だれでも簡単にフロー図を設計できます。
BPMNを活用して業務効率化を図ろう
BPMNはしっかりとルールを守りながら活用することによって、本領を発揮できます。
したがって、プロジェクトに関わるメンバーにはBPMNの理解をしていただきつつ、使いこなしてもらうのが理想的です。
まずはBPMNを活用する「目的」と「目標」をしっかり定め、紹介させていただいたツールもご参考にしていただきながら、目標に向かってフロー図を作成してみましょう。
投稿者
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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